【獣の奏者エリン】最後はどうなる?原作小説の結末をネタバレ解説

【獣の奏者エリン】最後はどうなる?原作小説の結末をネタバレ解説

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【ネタバレに関するご注意】
この記事には、アニメ版では描かれていない原作小説『獣の奏者』の結末に関する重大なネタバレが含まれています。アニメの感動を大切にしたい方、ご自身のペースで原作を読みたい方は、ご注意ください。

アニメ『獣の奏者エリン』の感動的な最終回を見て、「原作小説の最後はどうなるんだろう?」と気になっていませんか。実は、アニメで描かれた物語は壮大な原作のほんの一部です。原作小説では、エリンのその後の人生、そして衝撃的な死因や結末が描かれており、一部の読者からはトラウマになるとも言われています。

物語のあらすじを追いながら、なぜ彼女がそのような運命を辿らなければならなかったのか、愛する王獣リランとの関係、そして夫となるイアルとの未来など、アニメでは明かされなかった真実に迫ります。

この記事を読めば、獣の奏者エリンという物語の奥深さをより一層感じられるはずです。

  • 原作小説の結末とエリンの壮絶な最期がわかる
  • アニメと原作のストーリーの具体的な違いがわかる
  • イアルやジェシなど主要人物たちのその後がわかる
  • 物語の核心である「災い」の正体がわかる
目次

獣の奏者エリンの最後は原作小説で描かれる

獣の奏者エリンの最後は原作小説で描かれる

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この章で解説するポイント

  • アニメと原作の最後の違いとは
  • 原作小説の最後までのあらすじ
  • エリンの直接の死因となった「大罪」
  • 読者のトラウマ?壮絶な王獣との最期
  • 物語の鍵を握る闘蛇と「災い」の正体

アニメと原作の最後の違いとは

『獣の奏者エリン』の物語について語る上で、まず理解しておきたいのがアニメ版と原作小説の結末が大きく異なるという点です。多くの人が視聴したNHKのアニメ版は、実は原作小説の第二部「王獣編」までを描いた内容で、希望に満ちた形で締めくくられています。[1]

一方で、原作小説は第四部「完結編」まで物語が続き、エリンの生涯を最後まで描き切っています。そこには、アニメだけを観た人にとっては想像もつかないような、過酷で壮絶な運命が待っています。

アニメの最終回では、息子ジェシを抱きしめるエリンの姿が描かれ、未来への希望を感じさせる終わり方でした。しかし、原作ではこの先に、国を揺るがす大きな戦いと、エリンの悲しい決断が描かれているのです。

具体的にアニメと原作で物語がどのように違うのか、以下の表にまとめました。

項目 アニメ版(全50話) 原作小説(全4巻+外伝)
描かれている範囲 第一部「闘蛇編」〜第二部「王獣編」まで[1] 第一部〜第四部「完結編」まで全て
エリンの結末 生存。イアルとの息子ジェシを育て、平穏な未来を予感させる。 死亡。隣国との戦争で起こった「災い」を止めるため、自己犠牲の道を選ぶ。[2]
物語のトーン エリンの成長とリランとの絆を描く、感動的で希望のある物語。 国の政治や戦争、命の倫理など、より重厚でビターなテーマを扱う。
イアルの職業 実家は楽器職人(竪琴師)[3a] 実家は指物師[3b]

このように、アニメは「少女エリンの成長物語」として一つの区切りをつけていますが、原作は「一人の女性が過酷な運命の中で何を成し遂げたか」という、より壮大な大河ドラマとなっています。そのため、「獣の奏者エリンの本当の最後」を知るには、原作小説を読むことが不可欠です。

原作小説の最後までのあらすじ

アニメの最終回の後、原作の物語は第三部「探求編」、第四部「完結編」へと続きます。ここからエリンの運命は、国家間の争いという大きな渦に巻き込まれていきます。

国家間の緊張とセィミヤの決断

穏やかな日々を送っていたエリンですが、リョザ神王国と隣国ラーザとの間で、人の手による「新生闘蛇」の登場などを要因とする軍事的な緊張が極限まで高まります。

この国家存亡の危機に際し、真王セィミヤは苦渋の決断を下します。それは、かつて「決して武器として使わない」と誓ったエリンの王獣を、国の守りのために兵器として利用することでした。

セィミヤの願いと、国を守りたいという想いから、エリンはリランを中心とする王獣部隊を編成することを承諾します。これは、彼女が最も恐れていた道でした。

未知なる「災い」との戦い

エリンは、かつて母ソヨンや霧の民が警告していた「王獣と闘蛇を戦わせると大いなる災いが起こる」という言い伝えの真相を完全には知らないまま、戦いに臨むことになります。

そして、作中で「アマスルの戦い」(アマスルの平野で起きた会戦)[4]と呼ばれる戦闘で両国の軍隊が激突したとき、その恐るべき「災い」が現実のものとなります。この出来事がエリンを最後の決断へと導くのです。

エリンの直接の死因となった「大罪」

エリンの直接の死因となった「大罪」

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エリンの直接の死因は、戦場で発生した「災い」を自らの手で終結させるための自己犠牲的な行動です。彼女は、眼前に広がる悲劇が、自らが招いてしまった事態であると深く自覚したのです。

彼女の死は避けられない運命ではなく、強い責任感と愛情から自ら選んだ道でした。

エリンは、王獣を兵器として利用したこと、そして闘蛇の生態の秘密を解き明かし、結果的に人の手によるいびつな繁殖を可能にしてしまったことを、自らの「大罪」だと考えたと描かれています。自然の理を歪めてしまったことへの深い悔恨が、彼女を最後の決断へと向かわせたようです。

注意点:エリンの選択の背景
エリンの決断は、単なる罪悪感だけではありません。戦場に息子ジェシが駆けつけたことも、彼女の背中を押す大きな要因となりました。愛する息子に、これ以上悲惨な世界を見せたくない、未来を託したいという母としての強い想いがあったと解釈できます。

言ってしまえば、彼女の死は、リョザ神王国とそこに生きる全ての人々、そして獣たちの未来のために、自らが犯した「大罪」を清算するための、悲しくも気高い行為だったと言えるでしょう。

読者のトラウマ?壮絶な王獣との最期

『獣の奏者エリン』の結末が「トラウマになる」と言われる理由は、その最期のシーンの壮絶さにあります。特に、エリンと一心同体であった愛獣リランとの別れは、多くの読者の涙を誘いました。

狂乱する王獣たちと毒霧が広がる戦場を止める方法が一つしかないと悟ったエリンは、リランの背に乗ったまま、ある行動に出ます。

それは、獣の動きを封じる禁断の道具、「音無し笛」を自らの手で吹くことでした…。[5]

エリンが音無し笛を吹くと、上空を飛んでいたリランは音に反応して体が硬直し、飛ぶ力を失います。そして、エリンを背に乗せたまま、空高くから真っ直ぐに地上へと墜落していきました。

この墜落により、リランは命を落とします。エリン自身も致命傷を負い、リランの亡骸に脚を挟まれた状態で発見されます。原作では、その4日後に彼女が息を引き取ったと記されています。[2]

物語の鍵を握る闘蛇と「災い」の正体

物語の鍵を握る闘蛇と「災い」の正体

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物語の結末を理解する上で最も重要なのが、「災い」の正体です。この現象は、単なる言い伝えや呪いではなく、人の手が加わった獣の生態系が引き起こした悲劇として描かれています。

結論から言うと、「災い」とは「人の手で交配・繁殖させられた闘蛇が、天敵である王獣への極度の恐怖に陥った際に体外へ放出する毒霧と、それを吸った王獣が引き起こす狂乱状態」のことです。[6]

「災い」発生のメカニズム(要約)
特滋水(とくじすい)[7]という特殊な液体でいびつに育てられた闘蛇は、精神的に非常に不安定です。天敵である王獣に襲われる極度の恐怖から、体内の毒性物質を霧状に放出(毒霧)。王獣がこれを吸い込むと、理性を失い狂乱状態に陥り、敵味方の区別なく殺戮を繰り返した末に自滅してしまう、という破滅的な連鎖反応が描かれています。

この連鎖反応が戦場全体に広がり、両軍の獣たちが全滅するという未曾有の大惨事を引き起こしました。エリンの母ソヨンが命をかけて守ろうとした秘密の核心は、この「人の手で生を歪めることの恐ろしさ」にあったのです。

獣の奏者エリン、最後の結末と関連情報

獣の奏者エリン、最後の結末と関連情報

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この章で解説するポイント

  • エリンの最後を看取った夫イアルのその後
  • エリンの息子ジェシが繋いだ未来
  • 【考察】黒幕ダミヤは権勢欲の塊だったのか?
  • エリンの死後、リョザ神王国はどうなったか
  • アニメの主題歌OP・ED曲一覧

エリンの最後を看取った夫イアルのその後

エリンの夫であるイアルは、彼女の最期を看取った後も、その遺志を胸に強く生きていきます。彼は、エリンが命を懸けて守ろうとした未来を、息子ジェシと共に繋いでいく重要な役割を担いました。

戦いが終わった後、イアルは闘蛇乗りとしての役目を終え、再び指物師としての静かな生活に戻ります。彼の最大の使命は、一人息子のジェシを立派に育て上げることでした。

彼は、エリンから託された「災い」の真実や、獣と人とのあるべき姿についての教えを、ジェシに語り継いでいきます。父として、そしてエリンの想いの継承者として、ジェシを愛情深く、そして厳しく見守りました。

イアルは、ジェシが一人前の獣の医術師となり、孫の顔を見せるまで、その成長を静かに見守り続けました。まさに、エリンとの約束を果たしたのです。

そして、ジェシを立派に育て上げた後、イアルは病により静かにこの世を去ります。彼の亡骸は、エリンが眠るカザルムの丘、山リンゴの木の隣に埋葬されました。最後までエリンを深く愛し、その想いを守り抜いた、誠実な生涯だったと描かれています。

エリンの息子ジェシが繋ぐ未来

母エリンの死という大きな悲しみを乗り越え、息子のジェシは物語の希望を象徴する存在として成長します。彼は、母と父の遺志を継ぎ、リョザ神王国の未来に大きな影響を与える人物となりました。

ジェシは、父イアルに育てられながらカザルムで学び、母と同じ獣の医術師の道を歩みます。彼は、エリンが命と引き換えに残した「災い」に関する記録や、獣たちとの共生の哲学を深く理解し、それを後世に正しく伝える「語り部」としての役割も担うことになりました。

彼が教導師[8]となったカザルムの学舎では、エリンが遺した書物は、すべての生徒が学ばなければならない重要な教本となります。

ジェシが成し遂げたこと

  • 歴史の継承:母が解き明かした「災い」の真実を、隠すことなく次の世代に教え伝えた。
  • 教育の実践:カザルムの教導師となり、多くの後進の育成に尽力した。
  • エリンの夢の実現:母の夢であった「獣たちが人の道具とされず、自然のままに生きる世界」の実現に貢献した。

物語の最後は、ジェシが立派な大人になり、自分の子どもを持ち、教導師として生徒たちに囲まれている穏やかな場面で締めくくられます。母の壮絶な生き様と死を乗り越え、彼が未来へと確かな希望を繋いだことが示されており、物語に救いと感動を与えています。

【考察】黒幕ダミヤは権勢欲の塊だったのか?

【考察】黒幕ダミヤは権勢欲の塊だったのか?

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物語の前半で黒幕として暗躍した真王の甥、ダミヤ。彼は一般的に「権勢欲の強い狡猾な陰謀家」と見なされています。しかし、彼の行動を深く読み解くと、単なる私利私欲だけで動いていたわけではない、複雑な側面も解釈できます。

もちろん、彼が真王ハルミヤの暗殺を画策し、セィミヤを操って実権を握ろうとしたことは事実です。しかし、彼の行動の根底には、彼なりのリョザ神王国への憂いと「正義」があった可能性も考えられます。

ダミヤが最も恐れていたのは、強大化する大公家の武力と、求心力を失いつつある真王家の権威とのアンバランスが、国家の内乱につながることでした。作中で彼は、自らの目的をこう語っています。

『わたしは、一方が強大になりすぎたために崩れようとしている均衡を、もとにもどしたいと思っているだけだ。』[9]

この発言から、彼の行動は過激で非人道的ではあったものの、その目的は「真王家を中心とした国家の安定と維持」にあったという一解釈が成り立ちます。彼もまた、国の未来を憂う一人の王族として、自分なりの最善の道を突き進んだ結果、エリンたちの前に立ちはだかる敵となったのかもしれません。

エリンの死後、リョザ神王国はどうなったか

エリンの命を懸けた行動は、決して無駄にはなりませんでした。彼女の死は、リョザ神王国が新たな時代へ進むための、大きな礎となったのです。

戦いの惨状を目の当たりにし、エリンの最期の言葉を受け取った真王セィミヤは、王として大きな決断を下します。それは、王獣を完全に解放し、二度と国の象徴としても、兵器としても利用しないと誓うことでした。[10]

これにより、長年「王獣規範」という掟に縛られてきた王獣たちは、本来の生息地である野に返されることになります。これは、エリンが生涯をかけて夢見た「獣が人の都合で生を歪められることのない世界」の実現を意味していました。

エリンの願いは、彼女の死後、セィミヤやジェシといった遺された人々の手によって、見事に果たされたのです。

また、エリンが遺した「災い」の記録は書物としてまとめられ、獣の医術師を目指す者たちの必読書となりました。過去の過ちを隠蔽するのではなく、教訓として正しく後世に伝えるという道が選ばれたのです。

アニメの主題歌OP・ED曲一覧

アニメの主題歌OP・ED曲一覧

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アニメ『獣の奏者エリン』は、その感動的なストーリーと共に、心に残る音楽も大きな魅力の一つでした。特にオープニング(OP)とエンディング(ED)の主題歌は、作品の世界観を表現し、多くのファンの記憶に刻まれています。 ここでは、アニメを彩った主題歌を一覧でご紹介します。

担当 曲名 アーティスト 使用期間
オープニングテーマ (OP) 「雫」 スキマスイッチ 第1話 - 第30話[11]
元ちとせ 第31話 - 第50話[12]
エンディングテーマ (ED) 「After the rain」 cossami 第1話 - 第29話[11]
「きっと伝えて」 松たか子 第30話 - 第49話[11]

*一部の話数ではオープニングが省略されたり(例:第35話)、オープニング曲が挿入歌として使用されたりする(例:第50話)などの例外があります。

特筆すべきは、オープニングテーマの「雫」です。この曲は前期と後期で同じ曲を別のアーティストがカバーするという、珍しい形式が取られました。スキマスイッチによる爽やかで疾走感のある原曲と、元ちとせによる壮大で生命力あふれるカバー、どちらも物語の雰囲気に深く寄り添っていました。

総括:【獣の奏者エリン】最後はどうなる?原作小説の結末をネタバレ解説

  • 原作小説は全4部作でアニメはその前半部分を描いている
  • エリンは原作の最終巻である「完結編」で命を落とす
  • 直接の死因は「災い」を止めるための自己犠牲的な行動
  • 愛獣リランと共に音無し笛を使い上空から墜落した
  • 墜落後4日間生き延び未来のために知識と想いを遺した
  • 「災い」の正体は人工的な闘蛇が恐怖から発する毒霧
  • 毒霧は王獣を狂乱させ戦場を壊滅させる共倒れの現象
  • 夫イアルと息子ジェシがエリンの最期の4日間を看取った
  • イアルはジェシを育て上げた後、穏やかに病没した
  • 息子ジェシは母の遺志を継ぎ教導師として後進を育てた
  • 真王セィミヤはエリンの死後に王獣を野に解放すると決意した
  • エリンの夢見た世界は彼女の死によって実現へと向かった
  • 物語の黒幕ダミヤには国を憂う側面もあったと解釈できる
  • アニメと原作ではイアルの実家の設定が楽器職人か指物師かで異なる
  • 物語全体の結末を知るには原作小説を読む必要がある

注釈

[1] [二次資料] フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「獣の奏者」テレビアニメの項

[2] [一次資料] 上橋菜穂子『獣の奏者 IV 完結編』(講談社文庫)、終章「エリンの木」

[3a] [公式資料] Production I.G公式サイト「獣の奏者エリン」第16話・第22話あらすじ

[3b] [一次資料] 上橋菜穂子『獣の奏者 III 探求編』(講談社文庫)

[4] [一次資料] 上橋菜穂子『獣の奏者 IV 完結編』(講談社文庫)、第八章「アマスルの戦い」

[5] [一次資料] 上橋菜穂子『獣の奏者 IV 完結編』(講談社文庫)、第八章「アマスルの戦い」。作中の表記は「音無し笛」。

[6] [一次資料] 上橋菜穂子『獣の奏者 III 探求編』(講談社文庫)、第三章「ウハン村〜アマスル伯領」。新生闘蛇と災いの関連性が示唆される。

[7] [一次資料] 上橋菜穂子『獣の奏者 I 闘蛇編』(講談社文庫)、序章「アケ村の出来事」。作中の表記は「特滋水」。

[8] [一次資料] 上橋菜穂子『獣の奏者 IV 完結編』(講談社文庫)、終章「エリンの木」。ジェシが「教導師」として後進を指導する様子が描かれている。

[9] [一次資料] 上橋菜穂子『獣の奏者 II 王獣編』(講談社文庫)、第八章3「ダミヤの命令」

[10] [一次資料] 上橋菜穂子『獣の奏者 IV 完結編』(講談社文庫)、終章「エリンの木」。セィミヤが王獣を解放する決意を固める描写がある。

[11] [データベース] 番組情報データベース「しょぼいカレンダー」

[12] [公式資料] ソニーミュージック公式サイト、元ちとせアーティストページ

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