クレールオブスキュール(Clair Obscur)を徹底考察

クレールオブスキュール(Clair Obscur)を徹底考察

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※この記事は『Clair Obscur: Expedition 33』本編の核心的なネタバレを含みます。エンディングまで未プレイの方はご注意ください。

クレールオブスキュールの考察を求めて検索しているあなたは、おそらくこのゲームの複雑な物語に魅了され、同時に戸惑いを感じているのではないでしょうか。エクスペディション33とはどんな内容ですか?という疑問から始まり、クレールオブスキュールの意味や世界観の評価、そしてギュスターヴとマエルの関係は?マエルは何歳?ペイントレスとは何者ですか?といった核心に迫る疑問、さらにはエンディングの解釈まで、本作には多くの謎が散りばめられています。

この記事では、ゲームを3周プレイして得た知見と、作中テキストの丁寧な読み解きをもとに、デサンドル家の悲劇の全容と各キャラクターの真意、そして2つのエンディングが持つ深い意味を考察していきます。

  • デサンドル家を襲った悲劇とキャンバス世界の成り立ち
  • ペイントレスやキュレーターの正体と各キャラクターの思惑
  • マエルとアリシアの関係性および主人公の年齢設定の意図
  • 2つのエンディングが示す物語のテーマと家族の再生

※この記事は『Clair Obscur: Expedition 33』本編の核心的なネタバレを含みます。エンディングまで未プレイの方はご注意ください。

目次

クレールオブスキュールの世界観を考察

クレールオブスキュールの世界観を考察

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  • どんな内容ですか?あらすじを解説
  • クレールオブスキュールの意味とは?
  • ペイントレスとは何者ですか?
  • マエルは何歳?主人公の正体に迫る
  • ギュスターヴとマエルの関係は?

どんな内容ですか?あらすじを解説

本作の物語は、表面上は「ペイントレスという謎の存在がモノリスに刻んだ年齢以上の人々を抹消していく世界を救う」という王道RPGに見えます。しかし、物語が進むにつれて明らかになる真実は、プレイヤーの予想を大きく裏切るものでした。

舞台はベル・エポック期のフランス・パリに着想を得た都市「ルミエール」です。エッフェル塔や地下鉄、観覧車といった当時の印象的な建造物が登場しますが、画家が描いた絵の中に入り込めるなど、私たちの知る現実とは異なる法則が存在しています。

物語の核心は、デサンドル家という画家一家の悲劇にあります。火事で長男ヴェルソを失った母アリーンは、息子が遺したキャンバスの世界に逃げ込み、偽りの家族と暮らすようになりました。父ルノワールは妻を現実に連れ戻すためキャンバス世界の破壊を試みており、この対立がキャンバス世界全体を危機に追い込んでいます。

つまり、主人公たちが打倒すべき敵だと信じていたペイントレスは、実はキャンバス世界を守ろうとしていた存在だったのです。ゴマージュ(Gommage=仏語で「消す、削る」の意)という抹消現象を引き起こしているのはキュレーター(現実のルノワール)側であり、遠征隊がペイントレスを倒すことは、皮肉にも自分たちの世界を滅ぼすことを意味していました。

ゲーム中盤でこの真実が明かされた後、主人公マエルが実は現実世界のアリシア(デサンドル家の末娘)であることも判明します。記憶を失いキャンバス世界で転生していた彼女が、家族の争いを終わらせるために奔走するのが後半の展開となっています。

クレールオブスキュールの意味とは?

タイトルである「Clair Obscur(クレールオブスキュール)」は、フランス語で「明暗法」を意味する絵画用語です。光と影の強いコントラストを用いて対象を立体的かつ劇的に描写する技法であり、レンブラントやカラヴァッジョといった巨匠たちが得意とした手法として知られています。

このタイトルは、本作のあらゆる要素に反映されていると解釈できます。

物語構造における明暗

物語前半では「ペイントレス=悪、遠征隊=正義」という構図が提示されます。しかし後半になると、ペイントレスこそが世界を守っていた存在であり、遠征隊の行動が世界を滅ぼす結果につながっていたことが判明します。善と悪、光と影が逆転するという構造自体が、明暗法を物語に適用したものだと見ることもできるでしょう。

エンディングにおける明暗

本作には「マエルエンド」と「ヴェルソエンド」という2つの結末が用意されています。キャンバス世界を残すマエルエンドと、キャンバス世界を消滅させるヴェルソエンド。どちらが「光」でどちらが「影」なのかは、プレイヤーによって解釈が分かれるところです。

一見するとマエルエンドは仲間たちと幸せに暮らせるハッピーエンドに見えますが、エピローグでは不穏な兆候が示唆されています。逆にヴェルソエンドは多くの犠牲を伴いますが、家族が悲しみを受容して前に進む希望が描かれています。

印象的なのは、ゲーム中で「Clair」と「Obscur」という言葉が直接登場しないことです。タイトルの意味を理解することで初めて、この物語が「光と影」「真実と虚構」「現実と逃避」という二項対立をテーマにしていることが見えてきます。

ペイントレスとは何者ですか?

ペイントレスとは何者ですか?

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ペイントレスの正体は、デサンドル家の母アリーンです。彼女は画家評議会の議長を務めるほど突出した才能を持つ画家であり、家族の中でも最も高い能力を有していました。

長男ヴェルソを火事で失った悲しみに耐えられなかったアリーンは、息子が遺したキャンバスの世界「ルミエール」に逃げ込みます。そこで彼女は自身の画家としての力を使い、偽りの家族を創造しました。偽ルノワール、偽クレア、偽ヴェルソ、偽アリシアという「理想の家族」と暮らすことで、現実の痛みから逃れようとしたのです。

ここで重要なのは、ペイントレスは「抹消を行う存在」ではなく「抹消を遅らせ、住人に警告しようとしている存在」だという点です。抹消を引き起こしているのはキュレーター、すなわち現実世界のルノワールです。

モノリスに刻まれる数字について、住人たちは「この年齢以上の人間が抹消される」という宣言だと受け取っていました。しかし作中の描写やファンの間での解釈を踏まえると、実際にはアリーンからの「次に誰が消されるか」を示す警告だったと読み取ることができます。

この警告は皮肉にも遠征隊が発足するきっかけとなりました。キャンバス世界の住人たちはペイントレスを敵だと誤解し、彼女を倒そうとする遠征隊を結成します。実際にはペイントレスを倒すことこそが、世界を滅ぼす行為だったにもかかわらず。

作中でギュスターヴの元恋人ソフィーが、ペイントレスを見て「彼女も囚人かもしれない。私たちと同じ輪廻に囚われている」と呟くシーンがあります。この言葉は、アリーン自身が「幸福な偽りの世界」という牢獄に囚われていることを的確に表現していました。

マエルは何歳?主人公の正体に迫る

マエルの年齢は16歳です。作中で明確に言及されており、キャンバス世界における遠征隊の最年少メンバーとして描かれています。

この年齢設定は、物語のテーマと強く結びついています。なぜなら、マエルの正体は現実世界のアリシア(デサンドル家の末娘)だからです。

アリシアは姉クレアから託され、両親の争いを止めるためにキャンバス世界に入ったとされています。本来であれば記憶を保ったまま侵入できるはずでしたが、母アリーンのクロマ(画家が魔法を使う原動力となる絵の具のような物質)の影響か、画家としての力が未熟だったためか、アリシアは記憶を失い「マエル」という別人として転生してしまいます。

キャンバス世界と現実世界では時間の流れが異なることが、作中の会話や描写から示唆されています。具体的な比率は作中で明言されていませんが、アリシアがキャンバスに入ってからマエルとして長い年月を過ごしてきた一方で、現実世界ではそれほどの時間は経過していないようです。

16歳という年齢設定は「少女が大人になるための通過儀礼」という物語のテーマとも密接に関連しています。マエルとしての人生は、アリシアにとって兄の死を受け入れ、現実と向き合うために必要な成長の時間だったと解釈できるのです。

作中でマエル自身が「キャンバス世界では自分の身体が修復され自由に動けるようになる」ことを認識しており、「それこそが自分がキャンバスに留まりたい本当の理由なのではないか」と葛藤する描写があります。現実のアリシアは火事で顔に大火傷を負い、声を失っていました。キャンバス世界では健康な身体を取り戻せるという事実が、彼女のキャンバスへの執着を生んでいます。

ギュスターヴとマエルの関係は?

ギュスターヴとマエルの関係は?

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ギュスターヴは第33遠征隊のリーダーであり、マエルにとって「父であり兄だった」存在です。作中でマエル自身がこう表現しており、両者の関係性の深さがうかがえます。

幼い頃に両親を抹消で失い孤児となったマエルは、ギュスターヴとその姉エマに保護され、養子として育てられました。ギュスターヴはマエルの保護者であり、遠征隊の先輩であり、最も信頼できる家族のような存在だったのです。

目を引くのは、ギュスターヴとヴェルソの外見が似ているという点です。実際に、ルノワール、ヴェルソ、ギュスターヴのモーションキャプチャは同じ俳優(Maxence Cazorla)が担当しています。制作上の都合だけでなく、演出的な意味も込められている可能性があります。

マエルの正体がアリシアであることを踏まえると、彼女は無意識のうちに「ルノワールとヴェルソに似た男性」を「お兄ちゃんでお父さん」として慕っていた可能性があります。記憶を失っていても、家族への愛着は残っていたのかもしれません。

物語序盤でギュスターヴは偽ルノワールに殺されてしまいます。マエルはこの喪失を通じて、疑似的にヴェルソの喪失を追体験していると解釈できます。現実のアリシアが直面しながらも向き合えなかったヴェルソの死を、マエルとしてギュスターヴの死という形でやり直しているのです。

ギュスターヴの死後、マエルは彼のジャーナルを引き継ぎます。「後に続く者たちのために」という彼の姿勢を見習い、最初は感極まって何も書けなかったものの、徐々にギュスターヴのことを記録できるようになっていきます。この経験は「死者の遺志を継ぐ」という形で、家族の死を受容することにつながったのではないでしょうか。

なお、ACT3でヴェルソが「ギュスターヴをわざと死なせた」と告白する場面があります。ギュスターヴのような保護者がいてはマエルを成長させることができないと判断したためです。この事実は残酷ですが、ヴェルソがマエル(アリシア)を現実に戻すためにどれだけ周到に計画していたかを示しています。

クレールオブスキュールの結末を考察

クレールオブスキュールの結末を考察

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  • 戦闘システムとゲーム性の評価
  • エンディングの真相と解釈
  • ループ構造が示す物語の本質
  • 残された謎と続編への伏線

戦闘システムとゲーム性の評価

本作の評価は非常に高く、Metacriticでは90点台前半を記録しています(PS5版92点、PC/Xbox版91点前後)。OpenCriticでは92点、97%が推奨という驚異的な支持を得ました。発売から3日間で100万本、33日で330万本を売り上げ、2025年10月時点では500万本を突破しています。「Golden Joystick Awards 2025」ではUltimate Game of the Yearを含む7部門を受賞しており、商業的にも批評的にも大成功を収めました。

媒体 評価
Metacritic 90点台前半(PS5:92、PC/Xbox:91前後)
OpenCritic 92点・97%推奨
Edge 10/10
IGN 9/10
ファミ通 36/40
RPGFan 99/100
PC Gamer 70/100

戦闘システムは、ペルソナシリーズのような戦略性と、SEKIROのようなパリィ要素を融合させたものだと評されています。ターン制でありながらアクション性も求められる独特のバトルは、多くのプレイヤーから高い評価を得ました。

ただし、一部のレビューでは戦闘の難易度の高さを指摘する声もあります。PC Gamerは70/100と比較的低めの評価をつけており、難易度バランスや一部のゲームプレイ要素に課題を感じたようです。

私自身の評価としては、戦闘システムよりもストーリーと世界観の完成度に感銘を受けました。タイトルの「明暗法」というコンセプトが、物語構造からゲームシステム、ビジュアルに至るまで一貫して反映されている点は、近年のRPGの中でも群を抜いています。

エンディングの真相と解釈

本作には「マエルエンド」と「ヴェルソエンド」という2つのエンディングが存在します。最終決戦後、プレイヤーはどちらの立場で戦うかを選択することになります。

リードライターのインタビューによれば、「正解エンディングは存在せず、二つとも等しく正当な結末である」とのことです。どちらを選ぶかはプレイヤーの価値観に委ねられています。

マエルエンド「絵を描く人生」

キャンバス世界を存続させることを選んだ場合のエンディングです。マエルはヴェルソを抹消し、新たなペイントレスとしてルミエール世界の支配者となります。

エピローグでは、マエルの力で蘇ったギュスターヴやシエルの夫など、かつての仲間たちが笑顔で暮らす様子が描かれます。ヴェルソもピアニストとして復活し、オペラハウスで演奏しています。

しかし、このエンディングには不穏な要素が含まれています。画面はモノクロで表現され、登場人物たちの表情はどこかぎこちなく、操り人形のような印象を受けます。復活したヴェルソの顔に笑顔はなく、「こんな人生は嫌だ」と消滅を願っていた彼が永遠に生かされ続ける苦しみが暗示されています。マエル自身も徐々にペイントレス化が進んでいるような描写があり、やがてアリーンと同じ道をたどるのではないかという不安を残します。

このエンディングは、母アリーンと同じ道をマエルが歩む可能性を示唆していると読み取れます。いずれルノワールが再びキャンバスに介入し、今度はマエルを連れ戻そうとするかもしれません。一見幸福に見えるものの、その裏で再び悲劇が繰り返される予感を漂わせています。

ヴェルソエンド「愛のある人生」

キャンバス世界を消滅させることを選んだ場合のエンディングです。ヴェルソはマエルをキャンバスから追い出し、魂の欠片と共に消えていきます。

エスキエやモノコとの別れのシーンは、本作屈指の名場面です。自らの創造主であるヴェルソの苦しみを理解し、消滅する運命を受け入れながらも優しく抱き合う姿には、多くのプレイヤーが涙したことでしょう。

エピローグでは、現実世界でヴェルソの墓を囲むデサンドル家の姿が描かれます。アリーンは回復し、アリシアもヴェルソの墓を直視できるようになっています。家族がようやく息子の死を受け入れ、前に進み始めたことを示唆する結末です。

どちらを選ぶべきか

前述の通り、開発者は「どちらのエンディングにも優劣はない」と明言しています。ただし、マエルエンドを選んでもいずれはヴェルソエンドに至るのではないかという見方も可能です。キャンバスを残し続ける限り、家族の争いは終わらないからです。

本作のタイトル「Clair Obscur」は明暗法を意味しますが、どちらが「光」でどちらが「影」なのかは意図的に曖昧にされています。一見ハッピーエンドに見えるマエルエンドには暗い影が落ち、悲劇的に見えるヴェルソエンドには希望の光が差しています。

ループ構造が示す物語の本質

ループ構造が示す物語の本質

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本作の物語を理解する上で参考になるのが、「悲しみの5段階」という心理学的な概念です。海外のコミュニティでも広く議論されており、デサンドル家の各キャラクターがそれぞれの段階を象徴しているという解釈があります。

段階 説明 対応キャラクター(一例)
否認 現実を受け入れられず拒否する アリーン
怒り 不公平感や怒りが湧く クレア
取引 「もし○○できたら」と願う マエル(アリシア)またはルノワール
抑うつ 深い悲しみや絶望を実感 ヴェルソまたはアリシア
受容 現実を受け入れ前に進む ヴェルソまたはルノワール

アリーンは息子の死を「否認」し、キャンバス世界に逃避しています。クレアは作家への「怒り」に駆られ復讐に奔走しています。ここまでは多くの解釈で共通しています。

一方、残りの3人(ルノワール、アリシア、ヴェルソ)の割り当てについては、ソースによってかなり異なります。ヴェルソを「受容」とする解釈もあれば、「抑うつ」とする解釈もあり、統一された定説があるわけではありません。

本記事の視点から見ると、ヴェルソは永遠の苦しみに疲れ果てた「抑うつ」の状態にあり、最終的に現実を受け入れて家族と生きようとするルノワールが「受容」に近いと解釈することもできます。ただし、これはあくまで一つの見方であり、プレイヤーそれぞれの解釈に委ねられている部分です。

本作が描いているのは、喪失からの回復の物語です。大切な人を失った悲しみにどう向き合うか、現実逃避を続けることの危険性、そして家族の再生。これらのテーマが、ファンタジーRPGという形式の中で見事に表現されています。

キャンバス世界での出来事は、アリシアがヴェルソの死を受け入れるために必要な「セラピー」だったという解釈も可能です。実際には絵の中に入ったり魔法を使ったりしているわけではなく、すべてが比喩的に描かれている可能性も示唆されています。

残された謎と続編への伏線

残された謎と続編への伏線

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本作には多くの謎が残されており、一部は意図的に解決されないまま終わっています。

第3のエンディングの可能性

アリシアの手紙のタイトルが「une vie à rêver(夢みる人生)」であり、OSTの曲名にもなっていることから、「愛のある人生」「絵を描く人生」に続く第3のエンディング「夢みる人生」が存在するのではないかと、一部のファンの間で考察されています。

ただし、開発側からは公式な言及はありません。リードライターは「二つのエンディングはどちらも等しく正当な結末」と明言しており、現時点で隠し第3エンディングの存在は確認されていません。シリーズとしての続編構想は語られているものの、具体的な内容は未定のようです。

画家と作家の対立

現実世界では画家派閥と作家派閥が対立しており、デサンドル家の火事もこの争いの中で起きた陰謀でした。しかし、作家とはどのような能力を持つ存在なのか、なぜ画家と対立しているのかは詳しく語られていません。

海外では「作家とはゲームのシナリオライターや開発者、つまり現実世界をコントロールしている製作者サイドのメタファーである」という考察もあります。画家が虚構の世界を創造する存在であるのに対し、作家は現実を言葉で操る存在という対比は興味深いものがあります。

12月33日の謎

ヴェルソエンドの墓標には「12月33日」という日付が刻まれています。私たちの知る暦には存在しない日付であり、フランス革命暦との関連を指摘する考察もあります。この世界独自の時間の流れを示唆するものかもしれません。

偽アリシアがなぜ火傷を負った姿で描かれているのかという謎も残っています。アリーンはアリシアを恨んでいたのか、それとも別の理由があるのか。「火事を忘れないため」という解釈もありますが、確定的な答えは示されていません。

これらの謎は、続編やDLCで回収される可能性があります。特に画家と作家の対立は、現実世界での新たな物語として描かれる余地を残しています。

本作が問いかけるもの

最後に、本作が私たちに問いかけているものについて触れておきます。

キャンバス世界は、プレイヤーにとってのゲーム体験そのものでもあります。「このゲームを終わらせたくない」「いつまでも遊んでいたい」という願いは、マエルがキャンバスに残りたいという願いと重なります。

しかし、いつかはゲームを終えて現実に戻らなければなりません。大切な人との別れを受け入れ、その愛に感謝し、前に進むこと。本作はそうしたメッセージを、美しくも残酷な物語の中で描き切りました。

本作をプレイして、私は「終わらせること」の大切さを強く感じました。始めた物語は閉じられるべきであり、それは決して悲しいことではない。むしろ、終わりがあるからこそ物語は意味を持つのだと思います。クレールオブスキュールは、そのことを教えてくれる稀有な作品でした。

総括:クレールオブスキュール(Clair Obscur)を徹底考察

  • 本作はデサンドル家という画家一家の悲劇と再生を描いた物語
  • タイトル「Clair Obscur」は明暗法を意味する絵画用語
  • ペイントレスの正体は母アリーンであり、世界を守ろうとしていた存在
  • 抹消(ゴマージュ)を行っているのは父ルノワール(キュレーター)側
  • マエルの正体は記憶を失った末娘アリシアで、年齢は16歳
  • ギュスターヴはマエルにとって父であり兄のような存在だった
  • キャンバス世界と現実世界では時間の流れが異なることが示唆されている
  • 開発者は「2つのエンディングに優劣はない」と明言している
  • マエルエンドには不穏な兆候が描かれ、ヴェルソエンドには希望が示される
  • デサンドル家と悲しみの5段階を対応させる解釈がファンの間で議論されている
  • 画家と作家の対立など、続編で回収される可能性のある謎が残されている
  • 第3のエンディングの存在はファン考察であり、公式な言及はない
  • 本作はゲーム体験そのものをメタ的に問いかける作品でもある
  • Metacritic90点台前半、2025年10月時点で500万本以上を販売
  • Golden Joystick Awards 2025でUltimate Game of the Yearを含む7部門を受賞
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