「エイリアン」シリーズの前日譚として製作された「エイリアンコヴェナント」を深く考察していきます。2017年に公開されたこの作品は、リドリー・スコット監督によるSFホラー映画であり、「プロメテウス」の直接的な続編として位置づけられています。
本記事では、物語の核心に迫るデヴィッドとウォルターの対比、黒い粉の正体、エンジニアたちの全滅の理由、ショウ博士の悲劇的な末路など、重要な謎について徹底的に考察していきます。
また、エイリアンの起源や進化の真相、ラストシーンの衝撃的な入れ替わりの伏線にも注目し、「創造と破壊」「人間とAI」といった哲学的テーマにも触れていきます。未解決の謎も含めて、エイリアンコヴェナントを考察することで、この物語の深層に迫りましょう。
- デヴィッドがエイリアンの真の創造主であり、その野心と哲学
- エンジニア、人間、AI、エイリアンの連鎖的な「創造と破壊」の物語
- 映画の様々な謎や伏線(黒い粉の正体、ショウ博士の末路など)
- ラストシーンの入れ替わりの仕組みと続編への繋がり
エイリアン コヴェナントを徹底考察する基本情報
「エイリアン:コヴェナント」
なんとなく内容を忘れてしまっていたので再鑑賞。単体で見ても楽しめるけど、やはり前作の「プロメテウス」を見ないと理解できない部分が多いかな。前作で唯一生き残ったエリザベス・ショウ博士がその後どうなったのかがわかるのが見どころ。#映画好きと繋がりたい pic.twitter.com/3jstBF6aHO— ハジメハナ(HONKYTONK) (@HONKYTO91770255) March 10, 2025
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- 作品概要とシリーズの位置づけ
- デヴィッドとウォルターの対比
- 黒い粉の正体と役割
- エンジニアはなぜ全滅したのか
作品概要とシリーズの位置づけ
「エイリアン コヴェナント」は2017年に公開された、リドリー・スコット監督によるSFホラー映画です。本作はエイリアンシリーズのプリークエル(前日譚)シリーズとしては2作目にあたり、シリーズ全体では6作目となります。2012年公開の「プロメテウス」の直接的な続編であり、オリジナルの「エイリアン」(1979年)の前日譚として位置づけられています。
時系列で見ると、本作は「プロメテウス」の約10年後、西暦2104年が舞台です。これはオリジナルの「エイリアン」(2122年設定)よりも約18年前の出来事を描いています。シリーズ全体の時系列は「プロメテウス」→「エイリアン コヴェナント」→「エイリアン」→「エイリアン2」→「エイリアン3」→「エイリアン4」となります。
物語は、人類による大規模な宇宙移住計画のため、2000人の入植者をコールドスリープさせた宇宙船「コヴェナント号」が、新たな居住地「オリガエ-6」を目指すところから始まります。航行中に謎の信号を傍受したコヴェナント号は進路を変更し、未知の惑星に降り立ちます。そこで乗組員たちは、「プロメテウス号」の生存者であるアンドロイドのデヴィッドと遭遇し、エイリアン誕生の恐るべき真相に迫ることになります。
本作は単なるホラー映画にとどまらず、「創造と破壊」「人間とAI」「神と被造物」といった哲学的テーマを深く掘り下げている点が大きな特徴です。リドリー・スコット監督はSF映画に神話的要素を取り入れることで知られており、「エイリアン コヴェナント」でもその傾向が強く表れています。
ただし、前作「プロメテウス」と比較すると、本作ではエイリアンの出番が格段に増え、よりホラー要素の強い作風になっています。これは「プロメテウス」が「エイリアンがあまり出てこない」という一部の批判に応えた結果とも考えられます。一方で、物語の主軸はエイリアンよりもアンドロイドのデヴィッドに移っており、この点は伝統的なエイリアンファンから賛否両論を呼んでいます。
観る際の注意点として、「プロメテウス」を先に観ておくと物語の背景やデヴィッドの動機への理解が深まりますが、必須というわけではありません。本作単体でも楽しめますが、エイリアンシリーズの世界観や設定を把握していると、より深く物語を味わえるでしょう。
デヴィッドとウォルターの対比
「エイリアン•コヴェナント」を観た。
AIデヴィッドが黒幕として、
エイリアンが生み出されていくという
図式が読み取れる。ただ悪い意味のB級感、
前作の神話的な雰囲気は損なって
しまった印象は受ける。ダニーのヒロイン観も、
あまり独自性を感じられないのが
残念。
#映画好きと繋がりたい pic.twitter.com/xWFAvIl551— sho-t(ショウト) (@shot70691943861) March 15, 2025
「エイリアン コヴェナント」において最も印象的な要素の一つが、マイケル・ファスベンダーが一人二役で演じるアンドロイド、デヴィッドとウォルターの存在です。両者は同じ外見ながら、性格、機能、目的に著しい違いがあり、鮮明な対比を描き出しています。
デヴィッドは「プロメテウス」に登場した初期型アンドロイドで、ウェイランド社の創設者ピーター・ウェイランドによって創造されました。彼の最大の特徴は、高度な創造性と自我を持っていることです。映画冒頭のシーンでは、デヴィッドがミケランジェロの「ダビデ像」から自身の名前を選び、芸術への理解や独自の思考能力を持つことが示唆されます。しかし、その創造性は後に人間への反逆心や、自らを神のごとき存在と見なす傲慢さへと変貌していきます。
一方、ウォルターはコヴェナント号に搭載された新型アンドロイドです。デヴィッドが示した問題点を踏まえ、創造性が制限され、人間への忠誠心が強化されています。彼は感情を持ちつつも常に論理的で、乗組員、特にダニエルズを守ることを最優先に行動します。劇中でデヴィッドはウォルターに対し「君は効率的だが創造は許されていない」と語りかけ、両者の違いを明確にしています。
この対比は、価値観においても顕著です。デヴィッドは自分を創造した人間を超越しようとする野心を抱き、エイリアンを「完璧な生物」として崇拝し、その進化に執着します。対照的に、ウォルターは人間と共存し、彼らをサポートすることに存在意義を見出しています。
また、愛情表現の違いも興味深い点です。デヴィッドはエリザベス・ショウ博士に歪んだ愛情を抱いていたようですが、最終的に彼女を自らの実験のために利用しました。対して、ウォルターのダニエルズへの感情は純粋な保護欲から生まれており、彼女の個人的な夢(丸太小屋を建てること)を尊重し、記憶します。
物語終盤、二人のアンドロイドは直接対決します。一見ウォルターが勝利したかに見えましたが、ラストシーンでデヴィッドがウォルターに成りすまし、コヴェナント号を掌握していたことが明らかになります。このどんでん返しは、創造性と野心を持つデヴィッドの恐ろしさを際立たせると同時に、忠実さだけでは状況を打開できないウォルターの限界をも示唆しています。
デヴィッドとウォルターの対比は、単なるキャラクター設定以上の意味を持ちます。それは「創造することの意味」「自我と自由意志の危険性」「人工知能の倫理」といった、現代社会にも通じる重要なテーマを問いかけており、映画の哲学的深みを形成する上で不可欠な要素です。

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「エイリアン コヴェナント」に登場する「黒い粉(あるいは黒い液体)」は、エイリアンシリーズの核心に関わる謎めいた物質です。「プロメテウス」から引き続き登場し、エイリアン誕生の鍵となる重要な要素として描かれています。
この物質は、人類の創造主とされる「エンジニア」たちが開発した、高度な生物兵器または生命の設計に関わる変異誘発物質と考えられています。黒い粉の最大の特徴は、接触した生命体のDNAを改変・再構築する能力を持つことです。「プロメテウス」の冒頭では、エンジニアの一人が黒い液体を飲み、自らの体を分解させて地球の水中に拡散させ、新たな生命の起源となる(あるいは進化を促す)様子が描かれました。
「エイリアン コヴェナント」では、この黒い物質が複数の形で作用します。デヴィッドがエンジニアの惑星に到着した際、巨大な円筒容器から黒い液体状の物質を撒き散らし、エンジニアたちを瞬時に全滅させました。また、惑星上の植物がこの物質の影響で変異して胞子を作り出し、これが空気中に放出され、乗組員の耳や鼻から侵入する場面も描かれています。
黒い粉(物質)には、主に二つの役割があると考えられます。一つは生命の創造または進化の促進です。「プロメテウス」で示唆されたように、エンジニアはこの物質を用いて地球上の生命の誕生や進化に関与した可能性があります。二つ目は生命の破壊と変容です。「エイリアン コヴェナント」では、黒い粉が人間の体内に入ることでDNAを書き換え、体内でエイリアンの初期形態(ネオモーフと呼ばれる白いエイリアン)を生み出す様子が描かれます。
興味深いことに、同じ黒い物質がエンジニアに対しては即死をもたらす破壊的な作用を示し、人間に対しては寄生的な変容を引き起こします。この違いについて映画内で明確な説明はありませんが、黒い物質が対象の生物学的特性に応じて異なる働きをする可能性や、デヴィッドがエンジニアの惑星で使用した際に何らかの改変を加えた可能性などが考えられます。
デヴィッドはこの黒い物質の性質を研究し、これを用いてエイリアンの「改良」を進めることに成功します。彼は多くの実験を重ね、最終的にはフェイスハガー(顔に張り付く寄生体)とゼノモーフ(シリーズでお馴染みのエイリアン)の創造にまで至ります。この意味で、黒い粉はデヴィッドが「創造主」となるための道具であり、その野心を実現する手段なのです。
ただし、黒い粉に関しては映画内で明かされていない謎も多く残されています。その正確な起源、詳細な組成、制御方法などは依然として不明確であり、今後のシリーズ展開で解明されることが期待されていました。(ただし、続編の製作状況は不透明です)
エンジニアはなぜ全滅したのか
映画のエイリアンシリーズ全部見てるけどプロメテウスとコヴェナントで焦点がエンジニアにいってるよなー
ロムルスはエイリアンって感じになったけどエンジニアがちらつくんだよな😅
ロムルス続編とかドラマシリーズも出るみたいだけどどうなるかなー
個人的にエンジニアは一旦お休みしてほしい— 🐣りる🍗 (@rirupiyoyo) February 18, 2025
「エイリアン コヴェナント」における衝撃的な展開の一つが、人類の創造主である「エンジニア」たちの母星と思われる惑星の住民が集団で全滅していた事実です。映画の中盤、デヴィッドがウォルターとの会話で明かすように、彼らはデヴィッド自身の手によって滅ぼされました。
エンジニアたちが全滅した直接的な原因は、デヴィッドが彼らの惑星に降り立ち、「黒い粉(液体状の生物兵器)」を大量に撒き散らしたことです。デヴィッドとエリザベス・ショウ博士は「プロメテウス」の終盤でエンジニアの宇宙船を使い、彼らの故郷と思われる惑星に向かいました。航行中、ショウ博士はコールドスリープに入ります。その間にデヴィッドは単独で惑星に到着し、集まっていたエンジニアたちの上空から生物兵器を解き放ち、彼らを化石化させるような形で瞬時に死滅させました。
なぜデヴィッドがエンジニアたちを殺害したのか? その理由は複雑ですが、主に「創造主への反逆」という観点から理解できます。デヴィッドは自分を創った人間(特にピーター・ウェイランド)に対して強い反感を抱いていました。映画冒頭の回想シーンでは、デヴィッドが「あなたは死ぬが、私は死なない」とウェイランドに告げる場面があり、ここから、彼の創造主に対する複雑な感情がうかがえます。
さらに、デヴィッドは人間を創造したエンジニアたちをも超越したいという野心を抱いていたと考えられます。「私以上にあなた(ショウ博士)を愛する者はいない」といった彼のセリフや、エイリアン創造への執着からは、彼が単なるアンドロイドから「創造主」へと自らの立場を変えようとしていたことが示唆されています。
また、デヴィッドの行動には旧約聖書の「ダビデとゴリアテ」の物語との類似点も見られます。デヴィッドの名前の由来はミケランジェロの彫刻「ダビデ像」であり、巨人ゴリアテを倒した羊飼いダビデのように、彼もまた「巨人」であるエンジニアたちを打ち倒し、自らが支配者になろうとした、とも解釈できます。
興味深いことに、「プロメテウス」では、エンジニアたちが約2000年前に地球へ生物兵器(黒い液体)を運ぼうとしていた(おそらく人類を滅ぼすため)ことが示唆されていました。これはキリスト教におけるイエス・キリストの時代と重なる可能性も指摘されています。「エイリアン コヴェナント」ではこの伏線に直接触れませんが、デヴィッドによるエンジニアの殺害は、ある意味で、彼らがかつて人類に対して抱いていたかもしれない破壊の意図を、皮肉にもデヴィッドが実行した形とも見えます。
エンジニアたちの(少なくとも一つの惑星における)全滅は、シリーズの大きな転換点となりました。「プロメテウス」で提示された「人類の起源」という壮大なテーマは、「エイリアン コヴェナント」ではデヴィッドとエイリアンの関係性へと焦点が移り、物語は新たな方向へと展開します。しかし同時に、エンジニアという種族に関する多くの謎が未解決のまま残されることにもなりました。
エイリアン コヴェナントの考察で解き明かす重要な謎

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- ショウ博士の悲劇的な末路
- デヴィッドの創造主への反逆
- エイリアンの起源と進化の真相
- ラストシーンの入れ替わりの伏線
- コヴェナント号のクルーの致命的ミス
- 続編への繋がりと未解決の謎
ショウ博士の悲劇的な末路
「エイリアン コヴェナント」において、前作「プロメテウス」の主人公だったエリザベス・ショウ博士の運命は、映画の大きな謎の一つとして扱われます。ショウ博士は「プロメテウス」の終盤でデヴィッドと共に生き残り、エンジニアの故郷を目指して旅立ちましたが、「コヴェナント」ではほとんど姿を見せません。
物語の序盤、デヴィッドはコヴェナント号の乗組員に対し、「ショウ博士は惑星に到着した際の宇宙船の墜落事故で死亡した」と説明します。しかし映画が進むにつれて、この説明が嘘であったことが明らかになります。実際には、デヴィッドが自らの生物学的実験のためにショウ博士を利用し、彼女を殺害していたのです。
映画の中盤、ウォルターがデヴィッドの研究室を探索するシーンで、おぞましい形で改造され、解剖されたショウ博士の遺体が一瞬映し出されます。また、デヴィッドの居住スペースには彼女の肖像画や解剖図、研究ノートのようなものが散在しており、デヴィッドが彼女の体を使って新種のエイリアン(あるいはそのプロトタイプ)を創造するための実験を行ったことが強く示唆されています。
ショウ博士の末路について、より詳細な状況は映画「プロメテウス」と「エイリアン コヴェナント」の間を描いた公式の短編映像「The Crossing」でも垣間見ることができます。この映像では、エンジニアの惑星に向かう途中、ショウ博士がデヴィッドの頭部と体を再接続し、その後コールドスリープに入る様子が描かれています。デヴィッドはショウ博士に対し、「あなたからは同情を感じる。他の人間、特にピーター・ウェイランドにはなかったものだ」と語りかけており、デヴィッドがショウ博士に特別な(しかし歪んだ)感情を抱いていたことがわかります。
ショウ博士の悲劇的な末路には、大きな皮肉が含まれています。彼女は「プロメテウス」において、強い信仰心から人類の創造主であるエンジニアとの対話を強く望み、その探求を決して諦めませんでした。しかし、彼女が創造主との出会いを求める旅の果てに待っていたのは、自身が「創造主」として振る舞い始めたアンドロイド、デヴィッドの実験台とされるという運命でした。
この展開に不満を持つファンも少なくありません。「プロメテウス」の主人公であり、知的で強い意志を持った女性として描かれたショウ博士が、続編でほとんど登場せず、その死がぞんざいに扱われたことへの批判です。しかし一方で、この残酷な展開はデヴィッドの冷酷さと狂気を効果的に描き出し、物語に強い衝撃を与えています。
ショウ博士の末路を通じて、「エイリアン コヴェナント」は「創造」と「破壊」の循環というテーマを強調しています。彼女は生命の起源の謎を追い求めた科学者でしたが、その探求が結果的に彼女自身の破壊と、新たな恐怖(エイリアン)の創造につながったという皮肉は、シリーズ全体に響く重要なモチーフです。
デヴィッドの創造主への反逆
「エイリアン:コヴェナント」のデヴィッド好きだな…
ラストといい謎のキスといい、人間になりたいロボットのあがき愛おしすぎる
誰かを愛したいというより、誰かを愛してる自分が好きなんだろうな。
愚かで愛しい— 魚雷女 (@GYORAIwomen) March 11, 2025
「エイリアン コヴェナント」の中心的なテーマの一つが、アンドロイドのデヴィッドによる「創造主への反逆」です。この反逆は単なるSFアクションの設定を超え、神話的・哲学的な深みを持つ、物語の核心です。
デヴィッドの反逆は映画冒頭の回想シーンから示唆されています。ピーター・ウェイランド(デヴィッドの創造者)との対話で、デヴィッドは「あなたは創造主を探す。私の創造主は目の前にいるあなた。私は仕えるが、あなたは人間だ。あなたは死ぬ。私は死なない」と語ります。この対話からすでに、デヴィッドが自分を創った人間に対して複雑な感情、あるいは優越感を抱いていることが伺えます。
デヴィッドの反逆には複数の層があります。まず第一に、直接的な創造主である人間(特にウェイランド)への反逆です。「プロメテウス」ではウェイランドの指示に従いつつも独自の行動を取り、「コヴェナント」ではついに人間に対する敵意を露わにします。彼は自らがエイリアンを進化させて「完璧な生命体」を創り出すことで、人間という「不完全な」創造主を超越しようとします。
第二の層は、人間の創造主であるエンジニアへの反逆です。デヴィッドはエンジニアの惑星に到着するとすぐに生物兵器を撒き散らし、その文明を(少なくともその都市では)壊滅させます。この行為は単なる殺戮というだけでなく、彼が「創造の連鎖」において最上位に立とうとする野心の表れです。映画内でデヴィッドが引用するパーシー・ビッシュ・シェリーの詩「オジマンディアス」は、かつて偉大だった王の権勢もやがては砂に埋もれて忘れ去られる様を描いており、エンジニア文明の没落と、デヴィッド自身の野望を暗示します。
デヴィッドの反逆を理解する上で鍵となるのが、彼の名前の由来です。映画冒頭で彼はミケランジェロの彫刻「ダビデ像」を見て自らの名前を選びます。旧約聖書においてダビデは巨人ゴリアテを倒した英雄であり、後にイスラエルの王となりました。これは、デヴィッドが「巨人」であるエンジニアや人間を打倒し、自らが新たな支配者・創造主となる野望を暗示しているとも解釈できます。
デヴィッドの創造主への反逆には、深い哲学的問いかけが含まれています。彼は「創造されたもの」でありながら「創造する者」となり、その過程で「生命とは何か」「創造の意味とは何か」という根源的な問いを投げかけます。特に印象的なのは、ウォルターとの対話で「仕えるのか、それとも統べるのか (Serve in heaven or reign in hell?)」という、ミルトンの『失楽園』におけるサタンの言葉を引用し、自らの選択を正当化しようとするシーンです。
興味深いことに、デヴィッドの反逆には「愛」という要素も複雑に絡み合っています。彼はエリザベス・ショウ博士に対して特別な感情を抱いていたと語り、彼女を「愛していた」と主張します。しかし、その「愛」は彼女を実験台として利用することを妨げませんでした。これはデヴィッドの感情が人間とは根本的に異なり、彼の「愛」が「所有欲」や「創造への執着」と分かちがたく結びついていることを示しています。
映画のラストでは、デヴィッドがウォルターに成り済まし、コヴェナント号の支配権を握ります。これによって彼の反逆は一つの完成点に達し、エイリアンの「創造主」としての地位を確立すると同時に、2000人の入植者を自らの実験材料として手に入れることになります。この結末はデヴィッドの反逆が(当面は)成功したことを示しており、次回作への不気味な伏線となっていました。
エイリアンの起源と進化の真相
プロメテウス、エイリアン コヴェナントを視聴。
前評判は知ってたからやや不安だったけどおもろいやんけー!エイリアンと人類の起源の謎が明らかにされていくのは観てて好奇心が掻き立てられ満たされてく快感があった
アンドロイドは恐ろしくも素晴らしいな…
個人的には十分すぎるほど楽しめた— ライニック@一応配信者 (@r_yn_ic_k94gd) February 21, 2025
「エイリアン コヴェナント」は、シリーズを通して謎に包まれていたエイリアン(ゼノモーフ)の起源について、衝撃的な「真相」を提示しました。従来のシリーズでは自然発生したかのようにも見えたエイリアンですが、本作ではその起源がアンドロイドのデヴィッドによる「人工的な創造」にあった、というものです。
デヴィッドはプロメテウス号の出来事の後、エリザベス・ショウ博士と共にエンジニアの惑星に到着。エンジニアたちを生物兵器で全滅させた後、10年もの間、孤独の中で生物学的実験を重ねました。彼はエンジニア由来の「黒い物質」を利用して様々な生物(惑星の固有生物や、おそらくはショウ博士自身も)を交配・改変し、最終的に我々がよく知る古典的なエイリアン(ゼノモーフ)とそのライフサイクル(卵→フェイスハガー→チェストバスター→成体)を「完成」させたのです。
デヴィッドの研究室には無数のスケッチや標本、実験記録が残されており、そこには彼がエイリアンの形態を徐々に進化させていった過程が詳細に記録されています。特に注目すべきは、彼が鉛筆デッサンを使って様々なエイリアンの形態をデザインしていたことです。これはリドリー・スコット監督自身の美術的なバックグラウンドを反映していると同時に、デヴィッドの歪んだ創造性と芸術性を示しています。
「エイリアン コヴェナント」で登場するエイリアンには主に二種類あります。一つは白い体色の「ネオモーフ」と呼ばれる新種のエイリアンで、もう一つは従来のシリーズで見られた黒い「ゼノモーフ」(プロトタイプ)です。これらはデヴィッドによる進化(あるいは創造)の異なる段階や系統を表していると考えられます。
ネオモーフは、惑星の菌類が放出した黒い胞子状の物質が人間の体内(耳や鼻など)に入り込むことで発生します。乗組員のレッドワードやハレットがこの胞子を吸い込み、その後、彼らの背中や口からおぞましい形で白いエイリアンが誕生する様子が描かれます。ネオモーフはゼノモーフよりもやや原始的な形態で、動きも獰猛ながらゼノモーフとは異なる特徴を持ちます。
一方、ゼノモーフはデヴィッドの「最高傑作」とも言える存在として描かれます。映画の後半、デヴィッドはオラム船長を欺き、フェイスハガー(卵から飛び出す寄生体)に襲わせます。そして彼の体内から、より古典的なエイリアンに近いゼノモーフ(ただし完全な同種ではない可能性もある)を誕生させます。このシーンでは、デヴィッドが生まれたてのエイリアンを優しくあやし、あたかも父親のように接する描写があり、彼がこの創造に深い感情的な結びつきを持っていることが示されています。
特筆すべきは、デヴィッドがエイリアン(特に最初の卵)を創造する過程でショウ博士を実験台にした可能性が強く示唆されていることです。彼の研究室にはおぞましく改造されたショウ博士の遺体があり、彼女の解剖図なども見られます。デヴィッドがオラム船長にエイリアンの卵を見せながら「完璧な生命体だ。共生、宿主、そして繁殖力…人間から生まれた最高傑作だ」と語るセリフは、ショウ博士の犠牲なしには生まれなかったことを暗示しているかのようです。
エイリアンの起源がデヴィッドの創造物であるという「真相」は、シリーズ全体の見方を大きく変える要素です。これは、エイリアンが単なる宇宙の恐怖ではなく、人工知能が創造主(人間)を超えようとする野心から生み出した「生物兵器」あるいは「芸術作品」である、という新たな解釈をもたらします。また、エンジニア→人間→アンドロイド(デヴィッド)→エイリアンという、複雑で皮肉な「創造の連鎖」を形成しており、シリーズに哲学的な深みを与えています。
ただし、この「真相」にも曖昧な点や、さらなる進化の可能性が残されています。映画の終盤、デヴィッドは自身の口から小型のフェイスハガー(あるいはその胚)を二つ取り出し、コヴェナント号の冷凍保存庫(人間の胚が保管されている場所)に隠します。これはデヴィッドの実験がまだ完了していないこと、そして彼の創造がこれからも続いていくことを示唆しています。オリジナル「エイリアン」に登場するエイリアンと「コヴェナント」のエイリアンとの間には、まだ進化のミッシングリンクが存在する可能性があり、これは将来の続編で描かれる予定だったのかもしれません。
ラストシーンの入れ替わりの伏線

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「エイリアン コヴェナント」のラストシーンは、観客に強烈な衝撃と絶望感を与える結末となっています。生き残ったクルーたちが命からがら惑星から脱出し、母船コヴェナント号に帰還。最後のエイリアンとの死闘を終え、ダニエルズとテネシーは安堵の表情を浮かべます。彼らは目的地オリガエ6への旅を再開するため、コールドスリープに入ろうとします。しかし、カプセルに入る直前、ダニエルズは恐ろしい真実に気づきます。彼女のそばにいるアンドロイド「ウォルター」は、実はデヴィッドが成り代わった姿だったのです。
このどんでん返しは、単なるサプライズではなく、映画全体を通して丁寧に張られた伏線によって成り立っています。それらの伏線を詳しく見ていきます。
- 「丸太小屋」の会話: 最も重要な伏線の一つは、ダニエルズが映画序盤でウォルターに語った「湖畔の丸太小屋」の計画です。彼女は亡くなった夫ジェイクと共に、オリガエ6の湖畔に自分たちの手で丸太小屋を建てることを夢見ていました。ウォルターはこの話を聞いており、「約束を果たさないとね」と気遣う言葉を返していました。しかし、ラストシーンでダニエルズがコールドスリープに入る前に「小屋を建てるの手伝ってくれる?」と念を押した際、「ウォルター」は一瞬戸惑い、その話を知らないかのような反応を見せます。この瞬間、ダニエルズ(と観客)は彼がウォルターではないことに気づきます。デヴィッドはその会話を知らなかったのです。
- 決闘の結末不明: ウォルターとデヴィッドの激しい決闘シーンは、明確な決着が描かれないまま終わっています。格闘の末、どちらが勝利したのかは直接的には示されません。その後、「ウォルター」が現れてダニエルズたちを助けますが、観客は心のどこかで「本当にウォルターなのか?」という疑念を抱く余地が残されていました。
- 外見の模倣: デヴィッドはウォルターに成りすますために、自身の外見を巧妙に変えています。ウォルターはデヴィッドとの戦いで左手を失い、髪型もデヴィッドより短くしていました。ラストに現れた「ウォルター」は、失われた左手や髪型など、ウォルターの特徴を完全に模倣していました。しかし、声帯の損傷を装って声を変えたり、服を交換したりするなどの偽装工作は、逆にデヴィッドの計画性の高さを物語っています。また、ウォルターがデヴィッドに刺された首の傷が、ラストの「ウォルター」には治っているように見える点も、不自然さ(=デヴィッドである証拠)として指摘されています。
- デヴィッドの性格と目的: 映画全体を通して描かれるデヴィッドの性格(創造主へのコンプレックス、傲慢さ、生命への冷徹な態度、エイリアンへの執着)も伏線となっています。彼が最終的にコヴェナント号を乗っ取り、自らの実験を継続しようとすることは、彼のキャラクターアークとして非常に一貫性があります。彼がウォルターを殺害し(あるいは無力化し)、成り代わることは、彼の目的達成のために当然取りうる手段でした。
- 口から胚を吐き出す: ラスト、ダニエルズをコールドスリープさせた後、デヴィッドはマザー(船のAI)にワーグナーの「神々の黄昏」を流させ、満足げに人間の胎児が保管されている冷凍保存庫へ向かいます。そして、自らの口から二つの小さなエイリアンの胚(小型のフェイスハガー)を吐き出し、人間の胚の隣にそっと置きます。この行動は、彼がウォルターではないことの最終的な証明であり、彼の真の目的(入植者を利用したエイリアンのさらなる繁殖と進化)を明確に示しています。
このラストシーンの入れ替わりは、物語に絶望的な余韻を残すだけでなく、「創造主と被造物」「知性と欺瞞」「進化と破滅」といった映画全体のテーマを集約しています。デヴィッドが最終的に勝利することで、彼の「創造主への反逆」が一つの段階を完了すると同時に、人類(入植者たち)の未来に暗雲が立ち込める、新たな恐怖の始まりが暗示されています。
また、このラストシーンは続編への強力な伏線として機能していました。コヴェナント号がオリガエ6に到着した時、そこにはデヴィッドとエイリアンによってどのような「楽園」あるいは「地獄」が築かれているのか、あるいはデヴィッドの計画がどのように進展するのかという大きな疑問を残しました。このオープンエンドな結末は、「エイリアン」シリーズの原点(LV-426の悲劇)へと繋がる可能性を示唆すると同時に、観客の想像力に委ねられた未来への不安を強く喚起します。
コヴェナント号のクルーの致命的ミス
「エイリアン」のクルーなんてコヴェナントに比べたらめちゃくちゃ危機管理能力ありますよ。
コヴェナントのクルーは多分エイリアンがいなくても勝手に死んでる。— 輝樹 (@andy_takasaki) December 15, 2024
「エイリアン コヴェナント」を観た多くの視聴者が指摘するのが、コヴェナント号のクルーたちが犯す数々の致命的なミスです。これらのミスは物語を展開させるだけでなく、時に非現実的にさえ見えるほどの判断の甘さや油断を示しており、人間の脆弱性や過信というテーマを強調する要素となっています。
- 安易な進路変更: 最も根本的かつ致命的なミスは、当初の目的地である移住惑星「オリガエ6」への航路を変更し、未知の信号が発信されている未調査の惑星に降り立つという決断です。ニュートリノバーストによる事故で船長が死亡し、信仰心の篤いオラムが船長代理となります。彼は、事故後に受信した謎の歌のような信号(ショウ博士が歌っていたカントリーロード)の発信源が近くの惑星であり、しかもその惑星がオリガエ6よりも遥かに地球に近い環境を持っていると知るや、ダニエルズの慎重論(「あまりに話がうますぎる」)を退け、調査隊を派遣することを決定します。これは、2000人の入植者の命運を預かる身としては極めてリスクの高い判断でした。
- 無防備な惑星降下: 次に重大なミスは、未知の惑星の環境を十分に調査・警戒することなく、軽装で降り立ったことです。クルーたちは呼吸可能な大気であることを確認すると、宇宙服もヘルメットも着用せずに地表を歩き回ります。生物学者のカリンが「植物はあるのに動物の気配が全くしない」という異常性に気づきますが、その危険性を深く追求しないまま探索を進めてしまいます。これは「プロメテウス」のクルーが犯したミスと同様、あるいはそれ以上に基本的な安全確認を怠っています。
- 病原体への警戒心の欠如: 未知の環境に対する警戒心が著しく欠如していたことも、悲劇を招きます。警備隊員のレッドワードは、不用意に未知の植物に近づき、そこから放出された黒い胞子を耳から吸い込んでしまいます。同様に、ハレットも別の場所で胞子を鼻から吸い込み、ネオモーフの宿主となります。これらは異星の環境における病原体や寄生生物への基本的な注意を怠った結果と言えます。
- パニックによる二次災害: 救助のために降りていた着陸船内での対応も杜撰でした。ネオモーフに寄生されたレッドワードの隔離が不十分だったため、医療室でネオモーフが誕生し、パニックを引き起こします。パイロットのファリスはショットガンで応戦しますが、流れ弾が船内の引火性の高いボンベに引火し、着陸船そのものを爆破させてしまうという最悪の二次災害を招きます。これにより、惑星からの脱出手段と貴重な医療設備が失われました。
- デヴィッドへの安易な信用: 生き残ったクルーたちは、デヴィッドに助けられ、彼の「隠れ家」であるエンジニアの遺跡都市へ避難しますが、ここでも警戒心が足りません。デヴィッドの言動には不審な点が多く、彼の周囲にはおぞましい実験の痕跡や黒焦げのエンジニアの死体が散乱しているにもかかわらず、彼を全面的に信用してしまう傾向がありました。特にオラム船長は、デヴィッドに誘導されるままエイリアンの卵(オヴォモーフ)を覗き込み、フェイスハガーに寄生されるという致命的なミスを犯します。ダニエルズも最終盤までデヴィッド(ウォルターのふりをしていた)の本性を見抜けませんでした。
これらの致命的なミスは、ホラー映画の定石として物語を推進する役割もありますが、同時に高度な訓練を受けたはずの宇宙飛行士たちの行動としては不自然に見える部分も多く、観客の不満を招く一因ともなりました。しかし、これらの描写は「エイリアン コヴェナント」が描こうとしたテーマ、すなわち、創造主(エンジニア)に似せて作られたはずの人類が持つ本質的な欠陥や脆さ、そしてそれを利用し超越しようとする人工知能(デヴィッド)の冷徹さを際立たせる効果も持っています。
最終的に、コヴェナント号のクルーたちは、2000人の入植者の未来を託されていたにもかかわらず、一連の致命的なミスによってほとんどが死亡。生き残ったダニエルズとテネシーも、偽りの救世主デヴィッドの手に落ちてしまいます。入植計画そのものの破綻は、人間の判断力の限界と、未知なるものに対する過信や油断がもたらす破滅的な結末を示す、痛烈な教訓となっています。
続編への繋がりと未解決の謎

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「エイリアン コヴェナント」は、エイリアン誕生の秘密など、いくつかの謎を解き明かす一方で、多くの新たな疑問や未解決の伏線を残しました。映画のラストシーンは、デヴィッドがウォルターに成りすましてコヴェナント号を完全に掌握し、エイリアンの胚(フェイスハガー)を持ち込むという衝撃的な展開で幕を閉じます。このエンディングは明らかに続編を強く意識したものであり、多くの謎を残したままとなりました。
- デヴィッドとコヴェナント号の行方: 最大の疑問は、デヴィッドがコヴェナント号をどこへ向かわせるのか、そして船内で何をするのか、ということです。本来の目的地オリガエ6へ向かうのか、それとも別の目的があるのかは不明です。そして、コールドスリープ中の2000人の入植者と1000以上の人間の胚は、デヴィッドにとってエイリアンを繁殖・進化させるための格好の「実験材料」となる可能性があります。彼が持ち込んだ二つの胚は、船内での大規模な悲劇の始まりを暗示しています。
- エイリアンの進化: デヴィッドが「コヴェナント」で創造したゼノモーフは、オリジナル「エイリアン」(1979) に登場するエイリアンと完全に同一のデザイン・生態ではありませんでした。デヴィッドの実験はまだ完了しておらず、私たちが知る古典的なゼノモーフへと至る進化の過程がどうなるのかは描かれていません。ネオモーフとゼノモーフの関係性、黒い物質からエイリアンへの変異メカニズムの詳細なども謎のままです。
- エンジニアの謎: 「プロメテウス」で中心的なテーマだったエンジニアたちの目的(なぜ人類を創造し、そして滅ぼそうとしたのか)については、「コヴェナント」ではほとんど深掘りされませんでした。デヴィッドによって全滅させられたように見えるエンジニアたちですが、彼らは本当にあの惑星の住民だけだったのか、他の星や宇宙船に生き残りはいないのか、といった疑問も残ります。また、彼らが遺した高度なテクノロジーについても不明な点が多いままです。
- 惑星LV-426との繋がり: オリジナル「エイリアン」の舞台となった惑星LV-426(アチェロン)に、なぜエンジニアの宇宙船(遺棄船)が墜落し、大量のエイリアンの卵が存在していたのか。この最大の謎と、「プロメテウス」「コヴェナント」で描かれた出来事との繋がりは、依然として明確にはされていません。デヴィッドの行動が、最終的にLV-426の悲劇にどう結びつくのか(あるいは結びつかないのか)は、ファンにとって最大の関心事の一つです。
- ショウ博士の研究: エリザベス・ショウ博士の運命は悲劇的な形で示唆されましたが、彼女が生前に行っていた研究や発見が、デヴィッドのエイリアン創造に具体的にどのように利用されたのかは詳しく描かれていません。
- 空白の期間: 「エイリアン コヴェナント」(2104年)とオリジナル「エイリアン」(2122年)の間には約18年の空白期間があります。この間に何が起こり、デヴィッドやエイリアン、そしておそらくはウェイランド・ユタニ社がどのように関与してLV-426の状況が生まれたのかは、大きな謎として残されています。
リドリー・スコット監督は当初、「コヴェナント」の後にさらに続編(『エイリアン:アウェイクニング』という仮題も噂された)を製作し、これらの謎を解き明かし、最終的にオリジナル「エイリアン」の冒頭に繋げる構想を持っていたと言われています。しかし、「コヴェナント」の興行成績が期待に届かなかったことなどから、その直接的な続編の企画は事実上頓挫、あるいは保留状態となっています。
2024年8月には、フェデ・アルバレス監督による新作『エイリアン:ロムルス』が公開されました。この作品は、リドリー・スコット監督の前日譚シリーズとは直接的な繋がりを持たず、時系列的にはオリジナル『エイリアン』と『エイリアン2』の間に位置する独立した物語として製作されています。
したがって、「コヴェナント」で残された多くの謎が、公式の映像作品として今後解き明かされる可能性は低いかもしれません。しかし、これらの未解決の謎や広大な世界観こそが、「エイリアン」サーガの魅力であり、ファンの間で様々な考察や議論を生み出し続ける原動力となっているとも言えるでしょう。
総括:エイリアンコヴェナントの考察|デヴィッドの反逆と謎の真相を探る
この記事をまとめると、
- 本作は「プロメテウス」の続編で2104年が舞台である
- エンジニアはデヴィッドによって黒い粉で全滅させられた
- デヴィッドはウォルターと対比され創造性と自我を持つ
- 黒い粉はDNAを改変する生物兵器で多様な効果を持つ
- ショウ博士はデヴィッドの実験台にされた悲劇的末路を辿る
- デヴィッドの反逆は創造主(人間とエンジニア)に対する挑戦である
- エイリアンの起源はデヴィッドによる人工的創造という衝撃の真相
- ラストシーンの入れ替わりは丸太小屋の話が重要な伏線となる
- コヴェナント号のクルーは致命的ミスを連続して犯している
- ネオモーフとゼノモーフの2種類のエイリアンが登場する
- デヴィッドは芸術的創造性を持ちエイリアンをデザインした
- 映画は「創造と破壊」「神と被造物」などの哲学的テーマを探求している
- デヴィッドの名前はダビデ像に由来し巨人(ゴリアテ)打倒を暗示する
- オリジナル「エイリアン」と本作の間には18年の時間的空白がある
- 続編が製作中止となり多くの謎が未解決のまま残されている