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2017年に社会現象となったアニメ「けものフレンズ」は、その後の展開で日本のアニメ業界を揺るがす大きな騒動へと発展しました。けものフレンズ騒動について、わかりやすく全体像を把握したいと考える方も多いのではないでしょうか。
この騒動は、アニメ第1期を成功に導いたたつき監督の突然の降板発表から始まりました。けものフレンズ騒動とは何だったのか、なぜこれほどまでに大きな問題となったのか、その真相は複雑に絡み合っています。
けものフレンズの監督が降板した理由は何なのか、公式発表と関係者の証言には食い違いがあり、今でも明確な答えは出ていません。この降板劇がけものフレンズ炎上の火種となり、ファンコミュニティの分裂、制作陣の問題行動、そして続編であるけものフレンズ2の低評価問題へとつながっていきます。
特にけものフレンズ2については地獄説と呼ばれるほど厳しい評価を受け、ニコニコ生放送で史上最低のアンケート結果を記録するという前代未聞の事態となりました。
本記事では、この一連の騒動の経緯から影響まで、時系列に沿って詳しく解説していきます。現代のコンテンツ産業が抱える問題点も浮き彫りになったこの騒動から、私たちが学ぶべき教訓についても考察します。
- けものフレンズ騒動の全体的な流れと、たつき監督降板から2期炎上まで一連の経緯
- 監督降板の公式理由と関係者証言の食い違い、権利関係をめぐる複雑な問題構造
- けものフレンズ2が史上最低評価を受けた具体的原因と制作陣のSNS問題行動
- ファンコミュニティ分裂の実態と現代コンテンツ産業が抱える構造的課題
けものフレンズ騒動をわかりやすく解説!
けものフレンズ10周年
例の騒動の真相がいつか 明かされる日は来ると信じていますが多分その日までは生きていられないだろうな pic.twitter.com/vyfbFBQxqd
— 小女ラムネ新作希望 ラムおじピュー太 (@575NlDtfx690125) October 6, 2024
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- けものフレンズとはなんだったのか?
- けものフレンズはいつ流行った?
- けものフレンズの監督が降板した理由は何ですか?
- けものフレンズ炎上の始まり
- けものフレンズ2失敗と制作陣の問題点
けものフレンズとはなんだったのか?
けものフレンズは、動物を擬人化した「フレンズ」と呼ばれるキャラクターたちが活躍するメディアミックス作品です。このプロジェクトは2014年に株式会社KADOKAWAが中心となって開始され、漫画家の吉崎観音氏がコンセプトデザインを手掛けました。
作品の基本設定として、超巨大総合動物園「ジャパリパーク」を舞台に、謎の物質「サンドスター」の影響で動物たちが人間の姿をした「アニマルガール」に変身するという世界観が構築されています。ただし、各メディアが独自に世界観を解釈して展開する形式を採用していたため、原作となる固定的なストーリーは存在しませんでした。
最初に展開されたのは2015年3月に配信開始されたネクソン版スマートフォンゲームです。しかし、このゲームは2016年12月にサービスが終了してしまいます。その後、漫画版「けものフレンズ -ようこそジャパリパークへ!-」が月刊少年エースで連載されました。
プロジェクトの転機となったのは、2017年1月から3月にかけて放送されたテレビアニメ版です。このアニメ版は、たつき監督率いるヤオヨロズが制作を担当し、独特の3DCGアニメーションと心温まるストーリーで大きな注目を集めました。アニメの成功により、けものフレンズは単なるキャラクタープロジェクトから社会現象レベルの人気コンテンツへと変貌しました。
作品のコンセプトとして「動物への興味を持ってもらう」ことが掲げられており、実際に全国各地の動物園とのコラボレーション企画が多数実施されました。また、「のけものはいない」「みんなちがって、みんないい」というメッセージ性も多くの視聴者の共感を呼びました。
けものフレンズはいつ流行った?
『あなたは、けものがお好きですか?』
けものフレンズはおかげさまで10周年!
ラッキービーストを含めた総勢370フレンズのキービジュアル公開!そして公式サイトリニューアルオープン!https://t.co/3mBGt0ej9B
これからもどうぞよろしくね♪#けものフレンズ #けもフレ10周年 pic.twitter.com/qJ9KVPuCRq
— けものフレンズ@公式アカウント (@kemo_project) September 15, 2024
けものフレンズが本格的に流行したのは、2017年1月から3月にかけてのテレビアニメ第1期の放送期間です。しかし、この流行は段階的に拡大していったという特徴があります。
放送開始当初、けものフレンズは決して注目度の高い作品ではありませんでした。むしろ、低予算で制作された3DCGアニメーションの粗さから、一部では否定的な評価を受けることもありました。ところが、放送が進むにつれて視聴者の間で徐々に話題となり、特に3話「こうざん」、4話「さばくちほー」あたりから本格的な考察ブームが始まりました。
流行の転換点となったのは、作品に隠された謎や伏線の存在が明らかになったことです。一見のんびりとした動物園の日常を描いた作品に見えながら、実は人類が消失した後の世界を舞台にしているという設定が徐々に明かされ、視聴者の間で活発な考察が行われるようになりました。
ニコニコ動画では第1話の再生数が大幅に伸び、Twitter上では「すっごーい!」「たーのしー!」「君は○○のフレンズなんだね!」といった作中のセリフが流行語となりました。また、サーバルちゃんの特徴的な表情は「例の顔」として多くのミームを生み出しました。
流行のピークは2017年2月から3月にかけてで、この時期には社会現象と呼べるレベルまで人気が拡大しました。声優ユニット「どうぶつビスケッツ×PPP」がミュージックステーションに出演するなど、メディア露出も増加しました。
さらに、アニメ放送終了後も人気は継続し、全国各地の動物園でコラボイベントが開催されました。特に東武動物公園のフンボルトペンギン「グレープ君」とパネルとの交流が話題となり、多くのメディアで取り上げられました。
ただし、この流行は2017年9月25日のたつき監督降板発表により大きな転換点を迎えることになります。
けものフレンズの監督が降板した理由は何ですか?

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けものフレンズアニメ第1期を大成功に導いたたつき監督の降板については、2017年9月25日に監督自身がTwitterで発表しました。この突然の発表は「ざっくりカドカワさん方面よりのお達しみたいです」という曖昧な表現で行われ、大きな混乱を招きました。
公式に発表された理由は「関係各所への情報共有や連絡がないままでの作品利用」とされています。具体的には、たつき監督が制作した12.1話(ばすてき)をYouTubeに投稿したこと、コミケで同人誌を販売したことなどが問題視されました。製作委員会側は「情報は事前に共有してほしい」と申し入れを行ったものの、ヤオヨロズ側がこの条件を受け入れられないとして辞退したと説明しています。
しかし、ヤオヨロズの福原プロデューサーは異なる見解を示しました。福原氏によれば、12.1話は委員会への報告の上で制作されており、各企業とのコラボ動画も委員会からの正式な依頼で作成されたとしています。また、コミケの同人誌についても吉崎観音氏からの許可を得て、特別許諾と明記して頒布したと説明しています。
背景にある根本的な問題として、権利関係の複雑さが挙げられます。けものフレンズプロジェクトは吉崎観音氏のコンセプトデザインを基にしたメディアミックス企画でしたが、アニメ版の成功によりたつき監督の影響力が予想以上に大きくなりました。これにより「けものフレンズ=たつき監督」という認識が広まり、プロジェクト全体のコントロールが困難になったという見方もあります。
けものフレンズ炎上の始まり
昨今の、イラスト生成AIの是非に関する論争や意見を眺めていると、アニメ版けものフレンズ第1期の監督降板騒動を思い出すんだよな。
それまで同じものが好きだったのに、クリエイターやコンテンツに関する考え方の違いから、罵詈雑言が飛び交うようになった。こんな悲しいことあるか?
— キッド翁 (@antirockinonjap) November 5, 2024
けものフレンズの炎上は、2017年9月25日午後8時頃のたつき監督による突然のツイートから始まりました。「突然ですが、けものフレンズのアニメから外れる事になりました。ざっくりカドカワさん方面よりのお達しみたいです。すみません、僕もとても残念です」という内容は、瞬く間にインターネット上で拡散され、大きな騒動へと発展しました。
このツイートが投稿された直後から、ファンの間で激しい反発が起こりました。第1期アニメを愛するファンたちは、作品を成功に導いた立役者であるたつき監督の降板に強い憤りを感じ、Twitter上では「#たつき監督を返して」というハッシュタグが生まれました。署名サイトでは一晩で2万人を超える署名が集まり、最終的には5万人を突破する規模となりました。
炎上が拡大した背景には、たつき監督のツイート内容が持つ曖昧さがありました。「ざっくりカドカワさん方面より」という表現は、具体的な降板理由を明かさない一方で、KADOKAWA側に責任があることを示唆していました。また「お達しみたいです」という伝聞調の表現は、監督自身も詳細を把握していない状況を表しており、ファンの不安と怒りを増大させました。
ニコニコ動画では、けものフレンズ関連の動画コメント欄がKADOKAWAへの批判で埋め尽くされました。特にニコニコ動画の運営会社であるドワンゴがKADOKAWAの関連会社であることから、プレミアム会員の解約宣言が相次ぎました。
炎上はソーシャルメディアの枠を超えて広がり、一般メディアでも大きく報道されました。株式市場でもKADOKAWAの株価が下落するなど、経済的な影響も生じました。
さらに炎上を加速させたのが、降板発表から2日後の9月27日に発表された製作委員会の公式声明でした。この声明では責任がヤオヨロズ側にあるかのような内容となっており、ファンの怒りをさらに煽る結果となりました。
けものフレンズ2失敗と制作陣の問題点

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けものフレンズ2は、前作の成功を受けて大きな期待を集めていましたが、視聴者からは厳しい評価を受けることとなりました。制作陣の問題点は、作品内容だけでなく制作体制や関係者の言動にまで及んでいます。
最も大きな問題は、前作との連続性を保ちながらも全く異なる制作体制で作られたことです。監督は木村隆一氏に交代し、制作会社もヤオヨロズからトマソンに変更されました。しかし、前作の世界観やキャラクターを引き継ぐ必要があったため、制作陣は「たつき監督のけものフレンズ」を模倣する形での制作を余儀なくされました。
脚本面では、ますもとたくや氏が参加しましたが、前作の優しい世界観とは大きく異なる展開が多く見られました。特に9話「おうちにおかえり」では、主人公キュルルがイエイヌに対して冷淡な態度を取る描写があり、視聴者から強い批判を受けました。これは前作の「のけものはいない」というメッセージ性と相反する内容として受け取られました。
さらに深刻だったのは、制作過程での様々な問題です。オーディション用台本の盗用との疑惑が報じられたが公式見解は出ていない。また、たつき監督への脚本料未払い問題についても指摘がなされました。これらの問題は作品外での騒動として注目を集め、作品自体の評価にも悪影響を与えました。
ニコニコ生放送でのアンケート結果では、9話で「とても良かった」がわずか3%、最終回では2.6%という記録的な低評価を獲得し、遊戯王ARC-Vを抜いて史上最低記録を更新しました。これは制作陣の問題点が視聴者に明確に伝わった結果と言えるでしょう。
けものフレンズ騒動の影響をわかりやすく総括
「けものフレンズ2」を6年ぶりに視てる。
放送当時はニコニコ生放送で視てたけど、かなり荒れてたな。いろいろ騒動があったせいでネガティブフィルター全開で、みんな粗探しに夢中だった。
私も脚本の稚拙さとかキャラに生気が感じられないとことか気になりはするけど今のところ楽しめてる— とんかちくん (@kana_and_nano) April 3, 2025
- けものフレンズ2への批判とニコ生記録的低評価
- 制作陣のSNSでの不適切な言動
- けものフレンズ声優への影響は?
- ファンコミュニティの分裂と対立
- けものフレンズ騒動から学ぶべきこと
けものフレンズ2への批判とニコ生記録的低評価
けものフレンズ2が厳しい評価を受けた背景には、作品の根本的な問題点が複数存在しています。この評価は感情的な批判ではなく、客観的な指標によっても裏付けられています。
最も顕著な問題は、ニコニコ生放送でのアンケート結果に現れています。9話では「とても良かった」がわずか3%、「良くなかった」が91.1%という記録的な低評価を獲得しました。さらに最終回では「とても良かった」が2.6%まで下がり、これまでニコニコ生放送で放送された全アニメの中で最低記録を更新しました。この数字は、遊戯王ARC-Vという従来のワースト記録保持者を上回る結果でした。
ストーリー構成の問題も深刻でした。前作では丁寧に張られた伏線が最終話で美しく回収される構成になっていましたが、2期では大量の伏線が放置されたまま終了しました。キュルルの正体、サーバルの記憶喪失の原因、パークが水没した理由、海中の巨大セルリアンなど、重要な設定が説明されないまま物語が終わってしまいました。
キャラクターの行動原理も一貫性を欠いていました。主人公のキュルルは、自分を慕って尽くしてくれるイエイヌに対して感謝の言葉もかけず、ボロボロになった彼女を置き去りにして平然と立ち去りました。また、戦闘能力がないにも関わらず独断専行を繰り返し、常に他のキャラクターに迷惑をかける存在として描かれました。
制作陣のSNSでの不適切な言動
けものフレンズ2を完走した感想
結局叩かれる要素に外部的要因が強かったのか本編に対しては言うほどめっちゃ悪いとかそんな感じはしなかった
炎上要因には結局制作陣のツイート問題とかもありそう— バルちゃん@こいし狂 (@Serval_main) November 1, 2024
けものフレンズ2の制作期間中、監督である木村隆一氏とプロデューサーの細谷伸之氏のSNSでの言動が大きな問題となりました。両者の行動は制作者として不適切なレベルに達していました。
木村隆一監督のTwitterでは、作品への批判に対して感情的な反応を示すことが度々ありました。特に問題視されたのは、けものフレンズ2の放送中に政治的な内容のツイートを大量にリツイートしていたことです。9話放送後の炎上が最高潮に達していた時期に、反政府的な内容のツイートを連続してリツイートする行動は、視聴者から「現実逃避している」「作品に集中していない」という批判を招きました。
また、木村監督は批判的な意見を述べるユーザーを積極的にブロックする傾向があり、建設的な議論を避ける姿勢が目立ちました。これは制作者として視聴者の声に耳を傾けるべき立場でありながら、都合の悪い意見を排除する態度として受け取られました。
細谷伸之プロデューサーの問題行動はさらに深刻でした。Twitter上で視聴者からの批判に対して煽るような発言を繰り返し、「温まってきやがったぜ」「おい、信者ファンネル」といった挑発的なツイートを投稿しました。特に9話放送前に「とても良い回である」と自信満々に発言しておきながら、結果的に記録的な低評価を獲得した後も開き直りの姿勢を見せたことは、多くの視聴者の反感を買いました。
さらに細谷氏については、匿名アカウントによる自作自演との疑惑が指摘されたが公式見解は出ていない。「ふぁねる」というアカウントが細谷氏本人ではないかという疑惑が持ち上がり、このアカウントがたつき監督やけものフレンズ1期ファンに対する誹謗中傷を繰り返していたことが問題となりました。
これらの行動は最終的にテレビ東京の経営陣も問題視することとなり、2019年4月15日に公式謝罪文が発表され、4月25日の定例記者会見で「視聴者のご意見を皮肉ったり、あおったりした部分があった」として公式に言及する事態となりました。テレビ局が自社のプロデューサーのSNS発言について公式謝罪するのは極めて異例のことです。
両者のSNSでの問題行動は、作品の評価をさらに下げる要因となりました。視聴者は作品内容だけでなく、制作陣の人格や姿勢まで疑問視するようになり、けものフレンズ2への不信感を決定的なものにしました。
けものフレンズ声優への影響は?
「けものフレンズ騒動で一番かわいそうなのは声優」すこしわかる
— もしもしキング (@mosikin) June 20, 2018
けものフレンズ騒動において、声優への影響は複雑で深刻な問題となりました。特にアニメ第1期から継続して出演した声優たちは、ファンの分裂や制作体制の変更による板挟み状態に置かれることになりました。
最も影響を受けたのは、サーバル役の尾崎由香さんです。彼女はけものフレンズの看板キャラクターであるサーバルを演じており、1期の大ヒット時には数多くのメディア出演やイベント参加を行いました。しかし、たつき監督降板騒動が発生してからは、ファンの間で複雑な立場に置かれることになりました。
けものフレンズ2で新たにキュルル役を演じた石川由依さんへの影響も深刻でした。彼女は前作とは無関係でありながら、2期の主人公を演じることで一部の過激なファンからの批判の矛先を向けられることがありました。特に2020年6月には、匿名掲示板において石川さんへの脅迫文が書き込まれる事件が発生し、最終的に犯人が逮捕される事態となりました。
声優ユニット「どうぶつビスケッツ×PPP」の活動にも大きな変化が生じました。1期の大ヒット時には数多くのメディア出演を果たした彼女たちでしたが、騒動後は大規模なメディア展開が控えられるようになりました。これは声優個人の問題ではなく、コンテンツ全体の方向性変更によるものでしたが、結果的に彼女たちの活動機会に影響を与えました。
ファンコミュニティの分裂と対立
けものフレンズの作品が、コンテンツが、コミュニティが好きだし、けものフレンズのファンの一員でいられることが幸せです
— タヌえもん (@tanu_emon) May 17, 2025
けものフレンズ騒動は、それまで一つだったファンコミュニティを深刻に分裂させる結果となりました。この分裂は単なる作品の好みの違いを超えて、価値観や信念の対立にまで発展しました。
最も大きな分裂は、たつき監督支持派と製作委員会支持派の間で起こりました。たつき監督支持派は、1期の成功はたつき監督の功績であり、彼なしにはけものフレンズの真の続編は作れないと主張しました。一方、製作委員会支持派は、けものフレンズは元々吉崎観音氏のコンセプトに基づくプロジェクトであり、監督が変わっても本質は変わらないと考えていました。
この対立は「たつき信者」と「真フレ」という蔑称の応酬にまで発展しました。「たつき信者」は監督を盲目的に崇拝する人々を指し、「真フレ」は「真のけものフレンズファン」の略で、2期も含めて作品全体を愛する人々を自称する用語でした。これらの用語は相互に攻撃的な文脈で使用されることが多く、建設的な議論を阻害する要因となりました。
SNS上では激しい論争が日常的に繰り広げられました。Twitter、ニコニコ動画、5ちゃんねるなどのプラットフォームで、それぞれの支持派が相手を攻撃し合う状況が続きました。
けものフレンズ騒動から学ぶべきこと

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けものフレンズ騒動は、現代のコンテンツ産業が抱える様々な問題を浮き彫りにした事例として、多くの教訓を提供しています。この騒動から学ぶべき点は、制作現場から権利関係、ファンコミュニティの在り方まで多岐にわたります。
まず、クリエイターと企業の関係性について重要な示唆を与えています。たつき監督のような個人のクリエイターが作品を大成功に導いた場合、その功績をどのように評価し、今後の展開にどう関与させるかは極めて重要な問題です。企業側が短期的な利益や管理のしやすさを優先してクリエイターを軽視すると、長期的にはコンテンツの価値を損なう可能性があることが明らかになりました。
製作委員会方式の問題点も浮き彫りになりました。複数の企業が出資して制作を行う現在の仕組みでは、意思決定が複雑になり、クリエイティブな判断よりも政治的な思惑が優先される場合があります。また、権利関係が複雑になることで、本来の作品の価値よりも権利の所在が重視される傾向が強まることも問題として指摘されています。
SNSの使い方についても重要な教訓があります。制作関係者のSNSでの不適切な発言は、作品の評価に直接的な影響を与えることが証明されました。特に公式な立場にある人物の発言は、個人的な意見であっても作品全体のイメージを左右する力を持っています。
ファンコミュニティの健全性を保つことの重要性も明らかになりました。一度分裂したファンコミュニティを修復することは極めて困難で、建設的な議論よりも感情的な対立が優先される状況が長期間続く可能性があります。コンテンツホルダーは、ファンコミュニティの分裂を避けるための配慮が必要です。
総括:けものフレンズ騒動をわかりやすく解説!監督降板から炎上までを考察
この記事をまとめると、
- けものフレンズは2014年開始のメディアミックス作品で、2017年アニメ1期が社会現象となった
- たつき監督が2017年9月25日にTwitterで突然降板を発表し、大炎上が始まった
- 降板理由は「情報共有不足」とされたが、関係者間で見解が食い違った
- ファンは署名活動を展開し、一晩で2万人、最終的に5万人超が参加した
- KADOKAWA株価が下落するなど経済的影響も発生した
- けものフレンズ2は2019年に放送されたが、制作体制が完全に変更された
- 2期9話「おうちにおかえり」でキュルルがイエイヌを冷淡に扱い大批判を浴びた
- ニコ生アンケートで2期最終回が史上最低の2.6%という記録的低評価を獲得した
- 木村監督と細谷プロデューサーのSNS言動が視聴者の反感を買った
- 細谷プロデューサーの匿名アカウント自作自演疑惑が浮上した
- テレビ東京が2019年4月に公式謝罪する異例の事態となった
- 声優の石川由依さんが脅迫被害に遭い、犯人が逮捕される事件も発生した
- ファンコミュニティが「たつき信者」と「真フレ」に分裂し、激しく対立した
- 製作委員会方式の問題点とクリエイター軽視の弊害が浮き彫りになった
- SNSでの不適切発言がコンテンツ全体に与える影響の大きさが証明された