「かくしごと」映画とアニメの違いを解説!結末は同じ?

「かくしごと」映画とアニメの違いを解説!結末は同じ?

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人気漫画家・久米田康治先生が描く、愛と笑い、そして感動の物語「かくしごと」。2020年に放送されたTVアニメに続き、2021年には劇場編集版が公開されました。この二つの映像作品にはどのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、かくしごとについて、映画とアニメの違いを詳しく知りたい方に向けて、かくしごとアニメはどんな話なのか、そして映画「かくしごと」はどんな内容ですか?という基本的な疑問から、映画「かくしごと」と原作の違いは何ですか?といった少し踏み込んだ部分まで解説します。さらに、作品の感動ポイントとして、かくしごと 映画 泣けるという評判の理由や、物語の核心に迫る映画「かくしごと」の最後、そして作品の元ネタは何か、という点にも触れていきます。

  • TVアニメ版と劇場編集版の基本的な構成の違い
  • 物語の結末を大きく左右する「新規カット」の内容
  • 原作漫画と映像作品のエンディングの違い
  • 作品がより感動的になるエンディングテーマとの関連性
目次

アニメ「かくしごと」と映画の違いはどこ?

アニメ「かくしごと」と映画の違いはどこ?

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  • そもそもアニメ「かくしごと」はどんな話?
  • 映画「かくしごと」はどんな内容ですか?
  • 映画とアニメの大きな違いは新規カットの有無
  • 映画と原作の違いはエンディングの描き方
  • 作品の元ネタは作者・久米田康治の実体験?

そもそもアニメ「かくしごと」はどんな話?

『TVアニメ「かくしごと」』は、娘に自分の職業を隠し通そうとする漫画家の父親と、その娘の日常を描いたハートフルコメディです。

主人公は、後藤可久士(ごとう かくし)という、ちょっと下品なギャグ漫画で人気を博した漫画家。彼は一人娘の姫(ひめ)を溺愛するあまり、「下品な漫画を描いていることがバレたら娘に嫌われるかもしれない」と極度に恐れています。このため、姫には自分の職業を「隠し事」にして、普通のサラリーマンのフリをして毎日を過ごすのです。

物語は可久士のドタバタな二重生活を中心に、漫画家あるあるネタや個性的なアシスタントたちとのやり取りを交えながら、コミカルに進んでいきます。しかし、ただ面白いだけではありません。各話の合間には、18歳になった姫の視点から過去を振り返るシリアスなパートが挿入され、物語に奥行きと謎を与えています。

タイトルの意味

本作のタイトル「かくしごと」には、二つの意味が込められています。

  • 隠し事:可久士が姫に漫画家であることを隠していること。
  • 描く仕事:漫画家という職業そのもの。

この言葉遊びが、物語全体のテーマを象徴しています。

笑いの中に親子の深い愛情が描かれており、時にほろりとさせられる、非常にバランスの取れた作品です。

映画「かくしごと」はどんな内容ですか?

映画『劇場編集版かくしごと ―ひめごとはなんですか―』は、『TVアニメ「かくしごと」』全12話を再編集し、TV版では描かれなかった新規カットを追加した上映時間79分の「劇場編集版」です(※媒体により78分との表記もあり)。

基本的なストーリーラインはTVアニメ版を踏襲していますが、単なる総集編ではありません。この映画は、18歳時点のパートが補強され、物語の真相が一本の線として繋がるように構成されており、娘・姫が父の「かくしごと」の真相にたどり着くまでの道のりをより鮮明に描いています。

このため、TVシリーズで断片的に描かれた謎が繋がり、物語の核心部分がよりダイレクトに伝わる構成になっています。もちろん、可久士と姫の微笑ましい日常や、ゴトープロダクションの面々とのコミカルなやり取りといった作品の魅力もしっかりと凝縮されています。

劇場編集版とは?

総集編が単にTVシリーズを短くまとめたものであるのに対し、「編集版」は特定のテーマや視点に基づいて物語を再構築する意味合いが強いです。本作の場合、姫の視点を通して「もうひとつのラスト」を描き切るという明確な目的を持って制作されました。

映画とアニメの大きな違いは新規カットの有無

映画とアニメの大きな違いは新規カットの有無

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映画版とアニメ版の最も大きな違いは、物語の感動を深める「新規カット」が追加されている点です。特に、姫の母親に関するエピソードが補強されたことは、結末の印象を大きく変える決定的な差異と言えるでしょう。

この追加要素によって、後藤可久士というキャラクターの人物像がさらに深掘りされ、彼の行動原理や姫への愛情の深さがより強く伝わるようになっています。ここで、TVアニメ版と劇場編集版の主な違いを表にまとめます。

比較項目 『TVアニメ「かくしごと」』 『劇場編集版かくしごと ―ひめごとはなんですか―』
形式 TVシリーズ アニメ映画
放送期間/公開日 2020年4月~6月
(※放送局により日時は異なります)
2021年7月9日
話数/上映時間 全12話 79分(媒体により78分との表記もあり)
構成 10歳編を中心に、18歳編を挿入 18歳時点のパートを補強した構成
母親のエピソード 詳細には語られない 新規カットで補強される
結末 アニメオリジナルの構成を含む 原作漫画の最終回に準拠
エンディングテーマ 大滝詠一「君は天然色」
(※コンプリート・アルバムに『KAKUSHIGOTO ver.』収録)
大滝詠一「君は天然色」

映画と原作の違いはエンディングの描き方

前述の通り、映画の結末は、アニメ放送後に完結した原作漫画の最終回に準拠した内容になっています。

もともと、『TVアニメ「かくしごと」』と原作漫画は歩調を合わせる形で制作が進行していました。しかし、最終的にアニメが2020年6月に先に最終回を迎え、原作漫画はその翌月である7月に完結しました。その結果、原作の最終回には、アニメ版には含まれなかったエピソードが加筆されることになったのです。

つまり、アニメ放送時にはまだ世に出ていなかった「真のエンディング」が存在した、ということですね。映画版は、その原作の最終回を映像へと逆輸入する形で制作された、非常に特別な作品なんです。

このため、TVアニメ版を視聴した方でも、映画版を観ることで初めて物語の全貌に触れることができます。原作ファンにとっては待望の映像化であり、アニメから入ったファンにとっては、新たな感動を発見できる機会となるでしょう。

作品の元ネタは作者・久米田康治の実体験?

作品の元ネタは作者・久米田康治の実体験?

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本作の根幹をなす設定には、作者である久米田康治先生ご自身の体験が反映されているとされています

久米田先生はインタビューで、当初「漫画家」を題材にすることには乗り気ではなかったと語っています。しかし、ご自身が過去に「下ネタ漫画」を描いていたことで、職業を隠した経験があったことから、「漫画家であることを隠す」という本作の基本設定を思いついたそうです。

作中に登場する漫画家あるあるネタなども、作者自身の漫画家人生で感じてきた経験が色濃く反映されていると考えられます。このリアリティが、作品のコメディ部分に説得力と独特の面白みを与えているのです。

同名の別作品にご注意

ちなみに、世の中には同名の作品がいくつか存在しますが、本作はあくまで久米田康治先生の漫画が原作です。

  • 住野よるさんの小説『か「」く「」し「」ご「」と「』
  • 2024年6月7日公開の映画『かくしごと』(原作:北國浩二さんの小説『嘘』)

これらは全く別の物語ですので、混同しないようご注意ください。

かくしごとの映画とアニメで違いがある結末をネタバレ

かくしごとの映画とアニメで違いがある結末をネタバレ

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  • 【ネタバレ】物語の核心を解説
  • 映画の最後で明かされる母のエピソード
  • なぜ映画は泣ける?感動を呼ぶ「君は天然色」
  • 映画で描かれる結末とその後の展開は?
  • タイトルに隠された考察と伏線回収

ネタバレに関するご注意

ここから先の内容は、アニメおよび映画「かくしごと」の結末に関する重大なネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。

【ネタバレ】物語の核心を解説

物語の結末の核心を述べると、TVアニメ版と映画版のどちらも、最終的にはハッピーエンドを迎えます。しかし、そこに至るまでの感動の深さは、映画版の方が一枚上手と言えるでしょう。

物語の終盤、作中では可久士が自身の過去に関する週刊誌の記事がきっかけで心を痛め、漫画家を引退するに至ります。その後、肉体労働の現場で事故に遭い、昏睡状態に陥るのです。

姫が18歳になった時、可久士は奇跡的に意識を取り戻しますが、事故以前の7年間の記憶を失っていました。彼の中では、姫はまだ10歳のままだったのです。ここから、かつてのアシスタントたちが再集結し、記憶を失った可久士のために、連載していた作品『風のタイツ』を病室で再現する形でリハビリを支援します。最終的に、姫が持ってきた自身の過去の原稿がきっかけとなり、可久士は全ての記憶を取り戻します。

この大筋の展開は、TVアニメ版と映画版で共通しています。

映画の最後で明かされる母のエピソード

映画版のクライマックスでは、母親・小鞠(こまり)の過去が、新規シーンによって描かれます。なお、この名前は劇場編集版のクレジットで初めて明らかになりました。

作中では、彼女が生前カラーコーディネーターの仕事をしていましたが、徐々に色の識別が困難になる進行性の色覚障害を患っていたことが明かされます。そして、全ての色が分からなくなってしまう前に、家族との思い出の場所である島の「海の青」をもう一度目に焼き付けたいと願い、一人で旅に出た際に海難事故に遭ってしまったのです。

また、可久士が古い鎌倉の家と全く同じ間取りの家を中目黒に新築した理由も、妻がもし帰ってきても戸惑わないように、という深い配慮からでした。この背景が描かれることで、後藤家の歴史がより立体的になり、父と娘の絆の物語は、夫婦の愛の物語という側面も持つことになります。

なぜ映画は泣ける?感動を呼ぶ「君は天然色」

なぜ映画は泣ける?感動を呼ぶ「君は天然色」

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映画「かくしごと」の演出は、多くのレビューで高く評価されています。その理由は、母親のエピソードと、エンディングテーマである大滝詠一さんの名曲「君は天然色」を見事に重ね合わせている点にあるでしょう。

記憶を取り戻した可久士と姫が新たな生活を始めるラストシーン。姫は、鎌倉の家で見つけた、父が描いた「父と母と娘の家族団欒のモノクロ漫画」に、一色ずつ丁寧に色を塗り始めます。そこに、エンディングテーマ「君は天然色」が流れ始めます。

「思い出はモノクローム 色を点けてくれ」

この有名な一節が、まさに姫がモノクロの絵に色を付けていくシーンと重なるんです。これは本当に見事な演出です。

色を失っていく病だった母。その母の思い出に、成長した娘が未来への希望という彩りを加えていく。この一連の流れが、楽曲の持つ力と相まって、言葉にできないほどの感動を生み出しているのです。TVアニメ版でもこの曲は使われていましたが、母親のエピソードが補強されたことで、歌詞の持つ意味がより深く、切実に響くようになりました。

映画で描かれる結末とその後の展開は?

原作に準拠した映画のエピローグでは、全ての記憶を取り戻した可久士が、再び漫画家として再起する未来が描かれます

原作では、彼が漫画家として再起を目指し、担当編集の十丸院に新作漫画の企画を持ちかける様子が描かれています。一方で、娘の姫にも一つの「かくしごと」ならぬ「ひめごと(秘め事)」があることが示唆されます。彼女は高校の美術部に所属し、作品が大臣賞を受賞するなど絵画の才能を発揮していますが、父に伝えているかは定かではありませんが、漫画を描いている様子が描かれています。

ラストシーンでは、父と母の絵に色を塗り終えた姫が、仕事から帰宅した父を「おかえりなさい」と出迎えます。父から娘へ、そして娘から父へと受け継がれていく「描く仕事」。全ての「かくしごと」が明らかになった後、親子が新たな日常を、そして未来を共に歩み始めるという、希望に満ちた結末となっています。

タイトルに隠された考察と伏線回収

タイトルに隠された考察と伏線回収

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本作のタイトル『かくしごと』は、単なる言葉遊びに留まらず、物語の核心を突く重要なテーマそのものです。ひらがなで表記されることで生まれる多義性が、物語全体に深みを与えています。

まず、物語の始点である「隠し事」は、父・可久士が娘・姫を世間の偏見から守りたいという愛情の表れでした。しかし、この「隠し事」は同時に、父と娘の間に見えない壁を作っていた側面もあります。一方で、その秘密の対象であった「描く仕事」は、可久士の人生そのものであり、彼が記憶を失った際には、彼自身を救う鍵となりました。

そして物語の終着点では、父の「隠し事」が娘の「ひめごと(秘め事)」へと姿を変えます。これは、父が守りたかったものが、今度は娘の夢として受け継がれたことを象徴しています。父から娘への一方的な守護の関係から、親子が同じ「描く仕事」という夢を共有する、双方向の絆へと昇華したのです。劇場版で明かされた母・小鞠の病気もまた、家族を想うがゆえの「かくしごと」であったと解釈できます。後藤家にとって「かくしごと」とは、不器用ながらも愛情を表現する一つの形だったのかもしれません。

最終的に、姫が父の描いたモノクロの漫画に色を塗る行為は、過去の全ての「かくしごと」を肯定し、未来への希望という彩りを加える象徴的なシーンです。隠されていた過去が、未来を照らすための力に変わる。これこそが、本作に込められた最大のメッセージであり、見事な伏線回収と言えるでしょう。

総括:「かくしごと」映画とアニメの違いを解説!結末は同じ?

  • 『TVアニメ「かくしごと」』は、父娘の日常を描くハートフルコメディ
  • 『劇場編集版かくしごと ―ひめごとはなんですか―』はTV版の再編集に新規カットを追加した作品
  • 映画とアニメの最大の違いは、物語の感動を深める「母親のエピソード」が補強されている点
  • 母親・小鞠は色覚障害を患っており、その背景が映画で明かされる
  • 映画の結末は、アニメ放送後に完結した原作漫画に準拠している
  • エンディングテーマ「君は天然色」は、母親のエピソードと重なることで感動を増幅させる
  • 物語の結末は、可久士が記憶を取り戻し漫画家として再起するハッピーエンド
  • 娘の姫もまた父と同じ「描く仕事」を志していることが描かれる
  • 親子愛という一貫したテーマが、笑いと涙の中に描かれている
  • 作品の根幹設定には、作者・久米田康治先生自身の体験が反映されているとされる
  • タイトルの「かくしごと」は「隠し事」と「描く仕事」のダブルミーニング
  • さらに姫の「ひめごと(秘め事)」という、未来に繋がる伏線も存在する
  • TV版でコメディを楽しんだ後、映画版で物語の全体像を理解するのがおすすめ
  • 久米田作品ならではの言葉遊びや漫画家あるあるネタも大きな魅力の一つ
  • 全ての伏線が回収され、希望に満ちた未来を予感させる美しい物語である
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